王子様
ヒロインのピンチに颯爽と現れたのが、少女漫画に出て来そうな赤と黒のスーツ姿の王子様。
なんとか助かったのはいいが、別に俺はヒロインのようにトキメキはしない。
「なんと美しいマドモアゼ――――ェェルッン」
んっ誰だ滅茶苦茶キザな台詞を吐いた男は? まさか田中? 中歳?
いや違う。新たな王子様が現れた。
全身白のスーツに身を包み金髪ショートの男が両腕を広げてこちらに向かって来た。かなり中性的な美少年だけど、独特の口調はクセが強い ……。
彼については聞かなくても名前は分かっている。多分小学生でも分かる。でも、彼から名乗らせよう。
「おおっ――ビューティフル」
「まあっそうですのっ?」
新咲は真っ赤に高揚させた顔を手で覆って身を震わせた。多分アンタに言ったんじゃないよ ……。
白王子が近づいてくる。あっ名前言っちゃった! まあ、いいか、だけど俺は男に興味ないから近づくな!
「実に美しいっああっ――ビューティフォォ――」
白王子が胸に手を当て俺に近づいて劇団員みたいな振る舞い。
チッだから近寄んなって!
「なんて美しくしいんだ」
スチャッ!
「んっ?」
チュッ
白王子は俺の前でひざまずき、あろうことか右手を取って手の甲にキスをした!
ちょっと待てこらぁ!!勝手に触れるなっ!!それにどっ同意もなくに手の甲にキスするんじゃない!!
「は――は――このっ …………」
「んっ?」
憤慨する俺の顔を見て不思議そうに首をかしげる白王子だ。この鈍感!!
「興奮した?」
するかっ!!
「おお――っなんと美しい曲線美なんだぃマドモアゼル」
ツウウウゥゥゥ――――ゥッツウッ
「んっ!」
また俺の同意なしで勝手に太ももを人差し指で触れ縦にはわせた。コラッだっ大胆にもっほどがあるっ!
ツンツンツン
「んっんっ…………ヤメッ!!」
太ももを人差し指で三回突かれ刺激が走った。
はあっそっその気はないのに女体が反応する。くうっやめっやめっこれ以上俺に触るなっ!
「はあっはあ――――やめろって言ってんだろ?」
俺は息を荒く吐いて白王子を睨んだ。
「ワァオッこの僕に触れられて正気でいられる女性は初めてだ!」
「んっ、、、やっぱりアンタのソレは能力か?」
「察しが良いようでいかにも。この僕の能力は触れるだけで女性を魅了する能力です」
「お前っその手で触んなっ!」
「オ――ソ――リ――ィ」
…………お前、日本語と英語とフランス語ごっちゃに使うな! やっぱりクセが強い男だ。
「僕に触れられた少女はみな僕の虜になるのに君は僕にあがない、気丈に振る舞った。素晴らしいっ貴方こそ」
「んっ聞いてんのか?」
白王子が立ち上がりそっと俺のアゴに触れてクイッと持ち上げた!?
「美しい……貴方こそ次期クイーンに……」
「なっ!? ちょっと唇を近づけるなっそれに次期クイーンって!?」
白王子が顔寄せてキスする体勢に入る。よ、よせ! 俺の大事なファーストキスを奪いに来るな!
ああっだっ駄目だっ白王子に触れられ力が入らないっ!
くっ万事休すかっ!?
「ちょっと待ちなさいっ!!」
「…………」
新咲の金切り声で白王子の手が止まった。
「こんなっついこないだ男だった女のどこが良いですの?」
「 …………」
「このブスより、次期クイーン候補の私を見なさいよっ!」「…………黙れブス」
眉間にシワを寄せた白王子が新咲を睨んで言った。
「ブス? い、今、私に向かってブスと言いましたの?」
「実に醜い。心も鬼のように歪んだその顔も!」
白王子はそう言って、スーツの内側の胸ポケットから手鏡を取り出し、新咲の顔に向けた。
鏡に映った般若みたいに醜く嫉妬で歪んだ新咲の顔だ。
「きっきいきいきいぃぃいぃぃぃぃっ!! お前達っやっておしまいっ!!」
「へへっそうこなくっちゃ姉さん」
輩達が白王子を取り囲む。だけど微動だにしない白王子。
「へっへイケメンだからって調子乗ってんじゃねーぞ?」
「おいこらっビビってんのかハンサム?」
「お前っその顔で何人抱いた?」
嫉妬心丸出しの輩達が白王子を威嚇するも、白王子はどこ吹く風か微動だにしない。
「下衆が …………許しがたい連中だけど、暴力は好きではない。 黒王子っ頼みますよ」
帽子を深々と被り壁にもたれていた黒王子がスタスタとコッチに歩いてきた。
「あーやんのかコラ?」
輩の一人がズボンに手を突っ込んでガニ股歩きで黒王子に近づき威嚇した。
どう見てもガラの悪いチンピラだけど、どうやって進学校の竜神高校に入った?
なおもチンピラの脅しが続く。
「おいおいっキザ野郎ビビってんのか?」
「どけっガキ ……」
「はあっガキはてめぇだっふあっ!?」
えっ!? 一瞬でチンピラが3歳児の体になった?
「ふっふあっあっあっあ――――っ!!」
精神まで幼児に戻ったチンピラは泣きわめいた。
「帰ってママのおっぱい吸いな ……」
黒王子は冷徹に言い放ちチンピラを無視して残りの輩に対峙した。おいっ幼児にした輩元に戻さないのか?
「へへっす、少しはやるじゃねぇか?」
輩が近づく。だけど顔が引きつっていて、ビビっているのは輩の方だ。
黒王子を輩六人が取り囲んだ。
輩の数が増えたな……。
「てめえらやっちまえっうっ!?」
ドサドサドサ …………
一瞬で六人の輩が倒れた?
「スロー過ぎてあくびが出るぜ」
黒王子は決め台詞を言って帽子の位置をきにしながらクルリと反転して立ち去った。まさか時使い?
…………それよりまあ、コレはキザと言うより厨二気味だな。
「ちょっとなにやったのよっ!?」
一人残された新咲はヒステリックに叫んだ。
「まだいたの君?」
白王子はほほ笑むと新咲に近づき人差し指で額に触れた。
「ひぐっ!?」
新咲は失神してその場に崩れ落ちて失禁した。
マジか? ちょっと触れただけで?
じゃあ、それ以上に触られて耐えた俺って?
白王子が振り向いて俺に近寄ってひざまずいた。俺は経過して手を後ろに隠した。
「なっなんだよ ……?」
「初めましてマドモアゼル。自己紹介が遅れました。僕の名は白王子と申します。以後お見知り置きを」
「 …………」
あっそれは分かってた。
ちょっとえっちなTS学園ラブコメを目指します。




