幕間 僕の幼馴染は先輩に相談をする
「美優ちゃん、美優ちゃんてば!」
顔を上げると、りえ先輩の綺麗な顔が目の前にあった。
よく利用する近所のカフェ。
昼下がりだけど、席は半分くらいお客さんで埋まっている。
OL風の人たちも先輩の少し大きな声を気にしてか視線がこっちを向いている。
「すいません、ちょっと考え事を……」
恥ずかしくなり、ストローに口をつけてちゅうとアイスティーを啜る。
「颯太君のことでしょ! 私もびっくりしたからね。まさかあの怪異を討伐部隊の力を借りずに調伏しちゃうとは思わなかった」
「あいつ、手を出すなってあたしの忠告を無視したんですよ!」
「気に入らないのはそこじゃないでしょ?」
「……まあ、そうですけど……」
りえ先輩には敵わない。
「ほたるちゃん、最初は颯太君に懐いてなかったよね。どっちかと言えば嫌われてたと思う。でも……今じゃお互いわかりあってる気さえした。んっ、この言い方はちょっと大げさかな」
「やっぱり、そう思いましたか?」
「まあね。お見舞いに行ったときそんな気はしたかな。あの二人、これからもっともっと強くなるね」
「……」
そうですね。という言葉が詰まって出てこなかった。
あしたは颯太を認めているはずなのになぜだろう?
追加で注文したショートケーキとチーズケーキがテーブルに到着する。
「美優ちゃんはどうして調伏師になったの?」
フォークに刺さったチーズケーキを口に入れるところで止め先輩の目を見る。
「相談したいことが何なのか自分でも整理がついてないみたいだから、聞いてみたいことを口にしてみたよ」
「颯太の両親のお葬式の日、あいつは調伏師になるってあたしに言ったんです。でも……あの時の颯太は荒んでいたし、誰かが傍にいてあげないとダメだと思って。みていないとすぐ無茶しますから」
「えらいなあ、美優ちゃんは」
「そんなことないです……それにほたると契約した今ならほたるがその役目を果たせるから……あたしがあいつにできることは……」
あれ、なぜだか目に涙が浮かぶ。
あたしは何をするために調伏師になったのかわからなくなってしまった。
「傍にいないと危ないからか。でも、ほんとにそれだけかな?」
りえ先輩はあたしの涙に気づいてるはずなのに、なぜだか悪戯っぽい笑顔を向けられる。
「ほかに何があるっていうんですか!」
そうねえ……と、先輩はアイスコーヒーをストローでかき混ぜ、
「よしっ、颯太君だけほたるちゃんっていう美優ちゃん以外の相談役がいるのはちょっとずるいから、その役私がやってあげる。でも、私が今ここでそれを言うより、自分で気づいた方が力になると思うから。少し考えてみて」
「なんですか、それ。なんかちょっとずるい」
「美優ちゃんを泣かすとは颯太君もやるな」
「泣いてないですから。まだ流れてませんてば」
あたしは口を尖らせて先輩に抗議する。
「そういえば今日颯太君とほたるちゃんは?」
「2人なら、意気揚々と罰だとは到底思えないお掃除をしに研究室に行きましたよ」
どうせまた二人だけで美味しい物食べるつもりなんだから。
あたしには声も掛けないなんて!
特にほたるはあたしをチームの仲間だと認めていない気がする。




