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力を使うとお腹を空かす桜狐の姫は今日も僕に懐いてくれない~追放された底辺調伏師の僕はヒーローを夢見る~  作者: 滝藤秀一
第2章ー1 僕の幼馴染はご機嫌斜め

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第3話 僕の幼馴染は神様を見て不機嫌になる

 翌日、陽が傾きかけたころ――


 調伏師協会の換金所で昨夜の輝石を換金してもらう。

 現在僕たちは3人のチーム。分配は3分の1ずつの均等分配。

 チームメンバーを増やさず現状維持ならば、分配で争いになることは今後もないと思う。

 ほたるは耳を隠すために被っていた帽子のほつれが気になるのか、それを触っていた。


「ほらほら、あの子が颯太君とその神様」

「2人だけで大量の瘴気が実体化したやつを調伏したっていう」

「それっ! 偵察とはいえ討伐部隊も歯がたたなかった相手なのにね。どうしたの?」

「いやぁ、あの子のこと全く評価してなかったんだよね。ほら、判定の時とかいつもドベだったし。よく諦めないなって感心っていうか、少し呆れてた」

「たぶんそれ、この協会の大多数の人がそう思ってたよ」



 話に尾ひれが付いているような――

 あれを調伏したのはほたるなんだけどな。僕は気を失ってたし。

 そういえばあの調伏した輝石の換金は、後日に金額だけ渡すってなっていたけど。


「耳が痒いの」

「もうちょっと浅く被ればいいんじゃないかな」


 僕はほたるの銀色の前髪が見えるくらいまで帽子を持ち上げた。

 この帽子、お古だからな。だいぶくたびれているし。

 買ってあげるか。

 片耳専用の帽子をオーダーメイドで作ってもらうのがいいかもしれない。


「白いのがいいの!」


 あっ、そうか。僕の心の声も聞こえるのか。


「ほらさっさと訓練しに行くわよ」


 あからさまに不機嫌な顔で美優は僕たちに一瞥し間を通り抜けていく。

 僕たちが目立っていることが少し気に入らないような、そんな感じだった。






 美優との対人訓練戦闘。

 四方にはカメラが設置してあって希望すれば録音した映像をダビングしてもらうことも出来る。

 ショックを吸収する特殊な広いマットが敷かれた真ん中で僕は身構える。


 3分間の戦闘時間。

 すでにお互いに神降ろししている状態だ。


「美優ちゃんより、今はもうあの二人の方が強いんじゃない?」

「例の件だけならそう判断できるね」


 他の調伏師の人の声に美優は反応するように眉間に皺を寄せた。



 開始のブザーがなる。



 右手を振り上げてからの素早い振り下ろし。

 美優の得意な落雷。


「落雷の爪!」


 僕はあらかじめ右足を引いていたので左足も下げて、落ちてくる雷の直撃を避ける。


 左右の手を覆っていた雷を合わせて今度は雷の弓を作る。


「雷帝の弓!」


 バチバチと音を立て雷のエネルギーが高速で向かってくる。

 まともに食らったら大ダメージだ。

 いや、美優のそれはかすっても危ない。


 僕は両手に調整した桜火の炎を纏い、受け止めた瞬間に一気に火力を上げて相殺してみせる。


 美優は驚いた顔をしてから、不満顔に変化させて一蹴りでこちらに向かってくる。


 接近戦かよ!


 雷を覆った右の手刀は首を少しひねり空振りさせる。

 左足を上げたけど、これはフェイントだ。

 狙いは瞬時に戻した右こぶしでの急所への攻撃。この角度は首。


 僕は桜火を解除して、迫ってきていた美優の手首を掴む。


 盾役をやっていたからかな。

 どっちかというと僕は接近戦の方が得意かもしれない。


「なんで神降ろし解除してるのよ! 余裕のつもり?」

「なんとなくこっちの方が避けるのにはしっくり来ただけだよ。これは訓練だし」

「落雷の爪!」


 左手を掲げて振り下ろした。


 溜めなし、ノータイムで!

 手加減なしか!


 これは避けられない。気を失う覚悟をした時、


「桜火の二花!」


 僕の頭上に落ちてきた落雷を桜火の花びらのような盾が完全に防いで見せた。


 ほたるは銀髪を揺らし、自信に満ちた顔でゆっくりと僕に近づいてくる。

 美優は僕の神様を見て、さらに不機嫌さを増し僕が掴んでいた手を振り払い後退を選択した。


「今日から私もこの訓練、本格的に参加するの」


 右腕を軽く回しながら僕の神様は言う。

 今まではつまらなそうに僕の後方に居てくれただけで、この訓練に関しては手を貸してくれたことはなかった。

「ほたる……」


 僕がやられそうになったんでみていられなくなったか?


「そうた、これは訓練。遠慮はいらないの。あなたのチームにあの人がふさわしいかは、お人よしの主に代わり私が判断する」


 あっ、どうしてもそこに持っていきたいとか――


「なっ、なんですって!」


 僕、美優を追い出すなんてこと絶対にしないよ。


「あたしの力じゃ颯太のチームには役不足と言いたいの! ほたる、あんたあたしを追い出す気なのね」


 ほたるは馬鹿にしたようにため息をつく。

 その態度を見て、美優の雷量が明らかに跳ね上がったような。


「傍目から見れば、私たちの方が上って判断されてるみたいなの」


 美優が本気で攻撃しようとした瞬間に三分を告げるブザーが鳴り響いた。

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