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力を使うとお腹を空かす桜狐の姫は今日も僕に懐いてくれない~追放された底辺調伏師の僕はヒーローを夢見る~  作者: 滝藤秀一
第1章ー3 僕が神様のために出来ること

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幕間 僕を追放した元リーダーの心情

 調伏師が訓練している大きなホテルの地下。

 そこはあるひとつの病名【怪異症候群】を改善させるためだけの医療施設になっている。


 怪異の瘴気に中てられ感情を乗っ取られた者は負の感情を浄化し、正常に戻ったと判断されれば、一般人ならばその後日常の生活に戻れる。

 もちろん監視がつき、定期的な検診を受託しなければならないが。


 怪異と対面する機会が多い調伏師は、一般人より免疫が強いとはいえ発症することは確認されている。


 今回は7人が軽度の発症。一人が重度の発症。

 新種の怪異は発症率も跳ね上がるようだ。


 怪異症候群に発症者からの感染性はない。



「話ができる?」


 受付で怪異症候群のスペシャリストを呼びだそうとしたが、ちょうど私に気が付き彼女の方から近づいてきた。


「ええ。薬が効いて、潜伏期間も過ぎた。今回の彼は今までの患者の中で一番危険度が高かったわ」

「罪は当然償ってもらう」

「颯太君がいなかったら、もっと酷いことになっていたと思う。神降ろし出来たってきいたよ。日和、その辺話題にしてお茶でも飲みに行きましょう」

「ええ。じゃあ待っていて」


 私は御堂進の病室へと向かった。



 ベッドに上半身だけ起こして、御堂進は黙って私の話を聞いていた。


「あなたのしたことは、弁解の余地も出来ないほどひどいこと。怪異症候群にしても、抑えられなかったあなたが悪い」

「俺は……」


 御堂進は両手を爪が食い込むくらいまで握りしめていた。

 自分への怒りなのか、颯太君への恨みなのか判断が付きにくい。


「自分のことしか考えられないリーダーは必要ない。もちろん今までリーダーとして活動させていたことは、周りの大人である私たちの責任でもあるけど」

「どんな罰でも受け入れる……あいつに、颯太に悪かったと伝えておいてくれ」


 潜伏期間が抜けたとはいえ、態度が軟化しすぎている気もしないでもない。

 何かあるのかと勘ぐってしまう。


「はあ……」


 それに言葉だけの謝罪なんか、私は受け付けない。

 今まであの子が受けてきた仕打ちを思うと、胸が締め付けられる。

 感情的になって、御堂進に拳を打ち付けたい。


 だがそれは出来ない。颯太君はそれをしなかった。

 ほたるちゃんのことだけを想って――


「調伏師のライセンスははく奪。これから長期間、拘束されるからそのつもりで」


 御堂進は凍り付くような冷たい目を私に向けて、


「わかってる」


 ほんとにそうだろうか?

 何かが引っかかる。


「当然犯した罪は消えない。だからそれは償わなくてはいけないけど……あえて今言う。1つ、颯太君から伝言がある。どうするかはあなた次第」


 私は少し考えながら、口にした颯太君を思い出しながら彼の言葉を伝えた。




 ☆★★★☆




 狭い病室の殺風景な部屋。

 そのベッドに仰向けになり、薄暗い天井を見やる。


 悪かったと伝えてくれ。

 なぜあんなことを――

 俺が悪いわけじゃない。


 なぜこんなところに俺はいる?

 俺は調伏師のチームリーダーだ。

 いい暮らしが出来ていた。充実した毎日だった。


 だがそれもすべて奪われた。

 あの落ちこぼれのせいで――


 あいつが、あいつらさえ居なかったら――


 俺の中にいる冷気を放つそいつの声が初めて聞こえた。



「我慢するな」



 そうか。感情に身を任せるべきなんだ。

 俺は特別なんだ。

 俺にはその力がある。

 何をしてもいいんだ。


 牧颯太――

 あいつだけはぶち殺してやる!

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