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僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十話:僕たちのレトロゲームは知識の塔に満ちている
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毬菜がいなくなって一日が過ぎた、僕は自分の部屋でゲームをしていた。

やっていたのはもちろんソノサンのガキ。

大翔のいない家に、毬菜までいなくなった。


「僕は寂しくなんかない」

ゲーム画面を見ながら、僕は独り言をつぶやく。

見ているゲーム画面は、いつの間にか終盤のステージに来ていた。

そんな時、僕の家のインターホンが鳴った。


表情が少し緩んで玄関に行った。毬菜が帰って来たんだ。

だけど、それは僕の期待を裏切るものだった。


「あなたに話があるわ、幸神 広哉」

それは、加布羅兄さんのコントローラー香春だ。

というわけで、今は香春が僕の部屋に来ていたわけだ。


「このステージはこの石を消すと早いわよ」

しかも僕の隣で体を寄せながら口出しをしてきた。

確かに支持がかなり的確だ。香春の言うとおりに石を消すと、ショートカットができた。


「詳しいな」

「当然よ、あたしよりこのゲームに詳しい人はいないわ」

胸を張って堂々としている香春、なんだか悔しいな。


「あんたも結構このゲームが得意みたいね」

「僕が初めて勝ったゲームだから」

「でも、次は負けないわよ」

香春はやっぱり毬菜がいないとかなり高圧的だ。

攻撃的で、いまどきの女子大生だ。化粧も濃いし。


「僕だってここまで来たんだ、負けるわけにはいかない」

「そうよ、ファラオになるためにここまで来たのだから」

「そっちはファラオになって叶えたい願いがあるのか?」

「もちろんあるわよ」

「まさか毬菜関係の願いとかじゃないよな」

「そっちもいいんだけどね。マリちゃんをあたしの妹にしたいっ、とか。

だけどこの願いはあたしとアイツの願いだから」

「加布羅兄さんか」

ゲームをしながら、僕は会話に参加していた。


「そうね、願いは既に一致したわ。叶えられるのは一つだから。

あんたのところも願いの話をしたのでしょ」

「……うん」

毬菜は僕の願いを知っている。だけど毬菜の叶えたい願いはあるのか知らない。

僕の願いと異なり、毬菜にも本当は願いがあるのだろうか。


「あなたはいいわよね」

「何がだ?」

「マリちゃんはとってもいい子よ、育ちの良さが分かるわ」

「そいつはどうも」

「だけどあんたは最悪ね」

「なんでだよ?」

「マリちゃんにひどいことを言ったでしょ」

香春の言葉に、胸につままれる思いがした。


「ひどいこと?」

「マリちゃん、どうしてあなたのところにいないのよ?」

「それは……」

「まあ、あたしだって加布羅と喧嘩するけど」

「喧嘩?」

「うるさいわね、あたしはいいの」

香春は厳しく言い放っていた。


「そんなことより、あなたは絶対に勝てないわ。あたしはこのゲームが得意だから。

そう、次のゲームは解禁するわよ」

春香の不敵な言葉に、僕は嫌な予感がした。



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