表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちのレトロゲームが世界を救うこともある  作者: 葉月 優奈
十話:僕たちのレトロゲームは知識の塔に満ちている
96/129

096

いつのまにか自分の部屋に戻ってきていた。

僕と毬菜は気難しい顔で入っていた。

いつになく無邪気な毬菜も不満を浮かべていた。


「僕はとてもついている。加布羅兄さんとの勝負で、得意なソノサンのガキ」

「うん、そうだね」

「じゃあ僕はゲームをする、次のステージはクリアできないところから始まるからな」

「うん」

「飯はいつものカップ麺でいいな」

「うん」

「なんだよ、反応薄いな」

僕の言葉に、毬菜がどこか元気なく微笑んでいた。

そんな毬菜に構っている必要はない。

まだこのゲームは続くのだ。後二つのステージもリードしないといけない。


「じゃあ、僕はゲームをするからな」

「ねえ、広哉」

「なんだよ、僕は忙しいんだ」

そのまま毬菜を無視して、背中を向けてゲームを始めていた。

後ろにいる毬菜は、じっと僕を見ていた。


「広哉って本気で勝てるの?」

「当り前だ、僕達の勝利は僕達の目的に繋がる。

もちろんゲームに勝つことが、一番の目的だ。相手は加布羅兄さんなんだぞ」

「ねえ、広哉はゲームに勝つにはどうすればいい?」

「もちろんスキルだ、プレイヤーのスキルだけだ」

僕はためらいもなく言い放った。

それを聞いた瞬間、毬菜の顔が曇っていた。

だけど毬菜の顔をいちいち見ている様子はない。

これがチャンスなんだ、唯一加布羅兄さんにゲームで勝てるチャンスなんだ。


「そっか、広哉は大事なことを忘れているよ」

「絆とかいうのか?違うさ」

「もちろん絆っ!」

「なぜだよ、今回の目的は勝つことだ。

相手は加布羅兄さんしかいない、加布羅兄さんに勝たないと先には進めないんだぞ」

「分かっているけど、広哉はあたしに最近冷たい」

「それは……勝手にお前が住みついているだけだろ」

僕は激しく言うと、毬菜は急に泣き出しそうな顔へと変わっていく。

だけど、毬菜に対して僕はさらに強く出た。


「毬菜こそ、僕を利用しているんじゃないのか?

大体通り魔だろ、仮にも僕が警察つき出せば毬菜は終わりなんだぞ」

「……ヒドイ」

うつむいた毬菜はそうつぶやいた。

それを言った僕も気難しくなっていた。


「お前が……」

「もういい、広哉なんか嫌い!」

毬菜はそう言いながら僕から離れて行った。

その日、毬菜が戻ってくることはなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ