フレクス解放作戦XDAY10日前。
フレクス占領軍の総司令官は第二軍の総司令ヤッケ大将が兼ねていた。
しかし、ローヤルらのノーザン本星攻撃以降、本星からの催促とゲリラ攻撃によって気の休まる暇も無かった。
「ヤッケ大将、まだ、フレクスの残党の基地はわからないのかね」
スクリーンのゲスリッチ大将はせかすように言った。
「総司令長官。もう少しお待ち下さい。」
「それは昨日も聞いたよ。君が大変なのはわかるが、こちらも大統領からのプレッシャーが大変なのだ
よ。」
「司令長官が大変なのは判ります。」
特にあのヒステリーを相手にするのは大変だろうと、ゲスリッチも多少は同情した。
しかし、こちらのテロ行為は日増しに活発と化しており、
兵士が襲われるのは日常茶飯事となっていた。
偵察艦隊も3隻くらいで行くと襲われるのは確実、既に、10日間で10隻の艦船が藻屑と消えていた
。
特に前回のリッキーの突撃では15隻もの艦船が破壊され、フレクス側は小型艇を3隻、破壊できたに
過ぎなかった。
ノーザンの被害は作戦が始まってから、50隻以上の艦船が破壊され、補充も入れても、
残りは70隻も無かった。
しかし、フレクスの艦艇数はおそらく、ノーザンの2軍の半分も無いはずだった。
秘密基地を叩きさえすれば今度こそ、フレクスに壊滅的打撃を与えられるはずだった。
「もう少しお待ち下さい。現在、敵の秘密基地を探索中です。
もう間もなく見つかるはずです。」
無人探査機をフレクスから100光年以内の中に入れてしらみつぶしに調べた結果、いくつかの痕跡らしいものを発見していた。
フレクスの秘密基地を発見するのも時間の問題だった。
「あと、1週間以内には発見できるはずです。」
「5日だ。5日で発見してくれ」
ゲスリッチは大統領のヒステリーに耐えられる限界を告げていた。
「5日ですか。」
「そうだ。なんとか、それまでは抑える。」
苦渋に満ちた顔でゲスリッチは言った。
「了解しました。何とかやってみます。」
無人機だけではなくて、ある程度の規模の有人艦隊を向けようとヤッケ大将は考えを改めた。