ノーザン大統領ラメーヌの怒り
「何故、フレクスの傭兵部隊に好き勝手やらせているの」
ラメーヌ大統領はヒステリックに叫んでいた。
ケアル・ナアの死んだ後、副大統領だったラメーヌが大統領を引き継いでいた。
元々国内の環境問題の専門家で、女性対策と環境対策の2つから選挙用に副大統領になっただけで、実戦経験が在る訳ではなかった。
ノーザンの首都が攻撃されて現役の大統領が殺されたのもここしばらくなかったことだった。
というか、ノーザン創世記の頃の権力争いによる暗殺はあったが、他国での攻撃で亡くなったのは
初めての事だった。
経験の無い大統領がいらだつのももっともの事だった。
「大統領。今は国内の動揺を防ぐのが第一です。」
ホフマンの後を受けて急遽一軍の司令官から昇格したゲスリッチが言った。
「そうです、大統領。この混乱に乗じようとする他国もあります。ここはじっくりと腰を落ち着けて、やるしかありますまい。」
助かった参謀長のコノドゥーワが言った。
「しかし、こんな事をしでかしたフレクスの傭兵部隊を生かしておくわけには行かないわ。ノーザンの面子にかけて」
ラメーヌはこぶしを叩いた。
「それは判っております。
第二軍にフレクスの残党の一掃の指示を出しました。」
ゲスリッチが言った。
「最近、2軍も取りこぼしが多いけれど大丈夫なの」
ラメーヌは一抹の不安を口にした。
「大統領、2軍はノーザン最強の軍団です。まだ、4分の3以上が健在しているのですぞ。
フレクスの傭兵部隊などまともに遣り合えば勝つに決まっています。」
ゲスリッチがいきまいていった。
「信じないわけではないけれど、少し時間がかかりすぎていない」
そのゲスリッチの言葉にもラメーヌは動じない。
「今はテロ行為に翻弄されている面もありますが、もうすぐ、息の根を止めるのも時間の問題です。」
「大統領、2軍の実績は問題ありません。先日の襲撃も撃退しています。」
コノドゥーワもフォローした。
「また、信じないわけではないけれど、」
「大統領。最悪の状況も考えて、ブラックベリーにもフレクスの首謀者のローヤルの暗殺を命じました。ブラックベリーの暗殺率は100%です。」
「判ったわ。どんな事をしても抹殺するのよ。ノーザンの名誉のために」
ラメーヌはヒステリックに言った。
「了解しております。」
ヒステリーにはかなわないな、とコノドゥーワは思った。
「閣下は国内の動揺をいかに抑えるかをお考え下さい。」
「そうね、直ちに臨時議会の開催を。」
幸い、議会関係者には被害者はほとんどいなかった。
新たな補佐官にラメーヌは命じた。
予想とおり、ローヤルは新たにまた、命を狙われる事になった。




