リックの怒り
一方、ノーザン主星イヌワタでは瓦礫の撤去が始まっていた。
総死者は10万人弱。
侵略の作戦を立てていた軍関係者とそれを安全な後方で支持していた議会関係者が大半であった。
ローヤルの意思、後方でのほほんとして支持を飛ばしている、奴らは許さん、を体現していた。
戦争を仕掛ける行為に後方の安全地帯はどこにも無いと。
しかし、ノーザンのマスコミは巻き込まれた民間人と大々的に放送していた。
「皆さん、ご覧下さい。フレクスのテロリスト青い悪魔の放ったミサイルの痕跡です。」
議会の建物からの画像が流れている。
中は血で染まっていた。傷ついた死体は取り除かれていた。
「無実の多くの方々が悪魔のテロ攻撃で犠牲になりました。」
女性レポーターの声が画面に響く。
「何がフレクスのテロだよ。今まで散々やってきておいて」
リックはテレビ画面に怒りまくっていた。
「今までのお前らの虐殺はどうなんだよ」
無理も無かった。彼は家族をノーザンの死神部隊に虐殺されていた。
この傭兵部隊にいる多くの人間が同じような被害をうけていた。
「リック、言ってやれよ」
スタッドが言った。
「あの高慢ちきな、おばさんに」
スタッドはあごでリポーターを示して言った。
「えっ、」
「そうだ。勘違いしている奴らに教えてやれ。お前らがテロリストだと」
ジョーも煽る。
「そう思うだろ。ローヤル。」
「その通りだ。ケーセ、やってくれ」
ローヤルは頷いた。今、この時に言っておく必要があった。
「しかし、最後に残ったトラップですよ」
ケーセは抵抗する。
「いいよ。次にイヌワタに行く時は占領するときだ。残しておく必要も無いよ。リック今までの思い全てぶつけろ」
「悪魔のテロリストの非道に対して、国民の怒りを聞いてみましょう」
「よし、キュー」
女性レポーターの横に、リックの映像が投影される。
「フレクスのテロリストの攻撃についてどう思われますか。」
レポーターが何も考えずにリックにマイクを向けた。
「お前らが全部悪いんだよ」
「えっ」
リックのこんな反論を受けるなど思いもしなかった、レポーターは絶句した。
「俺は父ちゃんも母ちゃんも妹までお前らの死神部隊に殺されたんだよ」
逃げ惑う人々を襲う2109部隊が映し出された。
「死神部隊?」
「2軍の2109部隊さ。オリオンでラッセルに叩き潰された」
「反乱の鎮圧作戦中の不幸なできごとでは」
「お前は目が節穴か。皆笑って虐殺しているだろ」
リックはレポーターの首根っこを捕まえて、画像に押し付けた。
確かに画像に映って銃を乱射する兵士達は笑っていた。
「俺の父ちゃんも母ちゃんもこんな風に殺されたんだ。お前らのためにな」
なみだ目でリックは叫んだ。
「ローヤルはその虐殺を命令していた、ノーザンの本部と議会を1機でやっつけてくれたんだ。
虐殺者がどうのこうのいうな」
いきなり画面がブラックアウトした。
「気づかれたか。」
スタッドが言った。
画面の下にテロップでテロリストの宣伝工作が入ったので、画像を遮断しました。の文字が流れる。
「リック、つらいのに良くやってくれた。」
ローヤルがリックの肩を叩いた。
「いや、ついにみんなの敵を取れたんだ。ありがとうローヤル」
涙をこすってリックが言った。
「何言ってるんだ。これからだぜ。ノーザンをフレクスからたたき出すのは」
「判ってるって」
リックは笑って言った。




