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ウエムラの杞憂
「スウ王女に連絡を」
「了解しました。」
オペレーターが操作して、しばらくすると、ピンクドルフィンの休憩室につながった。
そこにはスウ付けの外交官ハラム・ハンが出てきた。
ウエムラは思わず顔をしかめる。ハラムは苦手だった。というよりも、嫌いだった。
「ウエムラ、どうかしたのか。」
ハラムが鷹揚に聞いてきた。
「スウ王女は?」
「今は外出中だ。帰って来られたら、伝えよう。」
「ではお願いします。ノーザンの動きに、不審な動きがあります。姫にも十二分に注意いただきたいと。」
「ノーザンか。まさかノーザンが攻めてくるとでも言うのか」
「その可能性もあるかと」
「分かった。その旨伝えよう」
怪訝そうな顔のハラムは応えた。
「よろしくお願いします」
頭を下げてウエムラは切った。
「くっそう、あの顔は絶対に伝えないつもりだぞ」
ウエムラは切れて叫んだ。