フレクス秘密基地攻撃
第二軍の旗艦ノーザン2船内は最終ワープアウトの準備に忙殺されていた。
「恒星レボックのアステロイドベルト帯にワープアウト5分前」
「全艦戦闘準備完了」
「この攻撃が成功すれば傭兵部隊の動きも鈍るだろう」
スクリーンを見ながら新任の軍団長のヌエ・ヤッケ大将は言った。
今回は2軍80隻のうち、50隻を投入するという大作戦だった。
「この大軍で攻撃したら、フレクスの残党はどうしようもありませんよ。
ローヤルもいないですし、楽勝ですよ。」
参謀のカンニバル大佐は言った。
「敵は殲滅しないと意味が無い。包囲に抜かりは無いだろうな」
「問題はないかと思います。30隻で攻撃、敵を追い出して、アステロイドベルトの反対側には20隻
と機動歩兵100機を展開させます。攻撃と同時に展開は完了するはずです。」
カンニバルの声にヌエも疑いを持たなかった。
「指令、艦隊多数ワープアウトしてきます」
小惑星の基地エクサスのオペレーターが叫んだ。
「よし、想定とおり。総員に戦闘準備」
フレクスからローヤル救出作戦の中、救出されたライクは指示を出した。
フレクスから艦隊の大半が出撃した情報は掴んでいた。
標的はエクサスしかないとの判断を下し、迎撃作戦も準備されていた。
「前面に30隻ワープアウト」
「後方レンジ20隻ワープアウト」
立体画面に前面の30隻と後方の20隻が映し出される。
「よし、想定とおりだ。第一脱出作戦開始」
前方の30隻は機動歩兵モレルアツを中心に50機を放出した。
「前方の敵はミサイルで対応。1分間隔で1000ずつ放出」
その頃エクサスからは10隻の宇宙船が船団を組んで、後方部隊側の
アステロイドベルト沿いを脱出に向かっていた。
「逃すな」
重巡パステルの艦長ラーマンは叫んだ。
今回の目標はフレクスの傭兵部隊の殲滅である。
今まで10隻ほどの艦艇が、フレクスの急襲により葬り去られていた。
数艦での偵察業務にも支障が出ていた。
この一斉攻撃でフレクスの残党を一掃するしかないとラーマンは思いつめていた。
それがこの後方部隊に課せられた使命だった。
後方部隊のは重巡洋艦バステスを中心とした10隻と機動歩兵30機が追った。
「よし、いまだ、砲撃開始。」
一直線上に向かったパステルの部隊は丁度設置された、アステロイドビーム部隊の射線の前を通った。
アステロイドベルトに設置された100基以上の大出力プラスターが火を噴く。
5隻の艦船と10機のモレルアツが一瞬にして、火を吹く。
バステルは大きく揺れる。
「どうした」
ラーマンが叫んだ最後の言葉だった。
一瞬後にはメインエンジンが爆発し、その火球にパステルが包まれた。
「よし、行くぞ」
その船の先頭を飛んでいたリッキーらが急速反転して、一気に残された5隻に襲い掛かる。
それと同時に砲塔群は急激にアステロイドベルト沿いに移動、残りの10隻と50機の機動歩兵に襲い掛かった。
「指令、後方部隊にフレクスの攻撃が集中しています。」
「何だと、直ちに前の基地への攻撃を集中しろ。」
30隻の艦隊は基地へ砲撃を集中した。
「よし、全ミサイル発射。脱出10分前、自動攻撃に切り替えろ。」
ライクは予定通の命令を下した。
後方部隊は大混乱していた。艦船は3分の2が撃沈され、機動歩兵も100機が50機まで減っていた。
傭兵部隊は50機の機動歩兵と20隻の艦艇中、3隻と10機の機動歩兵が破壊されていた。
要塞から3隻の100メートル級宇宙船が離脱してくる。
「ようし、空母を破壊して、全機離脱する。」
リッキーら5機はてんでばらばらに空母にいっせいに迫る。
空母を護衛していた、モレルアツが5機破壊され、リッキーは一気に空母に迫った。
至近距離からビームライフルを発射する。
5機のうち途中で2機が火球となるが残りの3機が到達していた。
後方部隊の旗艦、空母アスタは次の瞬間火球と化していた。
残った、艦船とモレルアツを火球と変えながら、傭兵部隊は基地を脱出していった。




