スウの人気
貨物船エクスペクトの展望室でローヤルは外を見ていた。
ローヤルの前にはどこまでも続く宇宙空間が広がっていた。
しかし、その目は宇宙は見ていなかった。
「必ず生きて帰って来て」
胸に飛び込んできた、スウの感触がローヤルの五感には残っていた。
「スウの事を思っているのか」
後ろからスタッドが声をかけてきた。
「いや、これからの事だ。」
ローヤルは振り返った。
「嘘付け。顔がにやけていたぞ」
スタッドはからかった。
「お前こそ、里心が付いたんじゃないのか。早く帰って来いとアスワン王に言われていただろ」
ローヤルが混ぜ返す。
「まだまだ、修行が足りないとさ。しかし、お前も敵を一杯作ったな。」
スタッドが言った。
「ノーザンは元より、スウ王女のファンまで敵にして、何時殺されても、仕方が無いぞ。」
「何だよ。スウのファンって」
ローヤルが聞いた。
世間に疎いローヤルはあまり放送等を見ていなかった。
「世間知らずだな。
スウ王女の人気はすさまじいんだぞ。
下手なアイドル顔負けさ。おそらく、ジパングの人気はベストテンに入る。
なおかつ、他国にも多くのファンがいるそうだ」
スタッドが解説した。
「チタを見ただろ。あいつはお前とスウがいちゃいちゃするたびに飛び掛りそうになっていたぞ」
笑ってスタッドは言った。
「どこでいちゃいちゃしていたんだよ」
「お前ら二人でいるだけでそうなんだよ。全宇宙にいろいろ放送されたけど、お前、何億って言うスウ王女のファン全てを敵に回したんだからな」
「そんなにいる分けないだろ」
「甘いんだよ。あの人気は半端じゃないんだから。
何しろノーザン軍の中にも隠れファンは多いそうだぞ」
確かに、女性の政治家の中の人気はナンバーワンだった。
そもそも、1国の元首クラスでここまで若い女性はいなかった。
さらに、ノーザンからの攻撃を撃退した、キア王子暗殺事件、
周りの有能な人間を使っていくパルミール市長としての手腕が評価されていた。
ノーザンの大統領選に出ても、下手したら、ケアル・ナアを上回るのではないかとノーザンの3流テレビで話題になってもいた。
その中でも熱狂的な男性ファンにとってはローヤルの出現は晴天の霹靂だった事は十分に想像出来る事だった。
「これからは民衆の前に出る時は防弾チョッキを着ろよ」
スタッドの言う事も一理あった。
「ま、それよりも、ノーザンの事だろう。今まで、やってきた悪事の数々後方でのほほんとしていたのを死ぬほど後悔させてやる」
ローヤルはこぶしを握り締めた。
「しかし、また、ノーザンの攻撃が陰険化するぞ」
「今度は俺の首を狙ってくるだろうな。その時は返り討ちにしてやるさ」
ローヤルは真剣な顔で応えた。
その時、展望室に、リックバタフライが飛び込んできた。
「ローヤル、大変だ。エクサスがノーザンに襲われた。」
「何だと。」
慌てて、二人は展望室を飛び出した。




