XDAY2日前
アンビーブでは補給物資の積み込みが佳境を迎えていた。
本来、爆破する予定の基地が生き残る事になり、もって行ける物は全て持って行くことになって
結構ドタバタが続いていた。
あまったエンジンで宇宙船とは呼べない形状のものまで応急的に作られていた。
「ローヤルついに来たな」
スタッドが感慨深げに言った。
「ああ、ノーザンの2軍を葬り去る」
ローヤルは死んでいった仲間を思った。
ノーザンの奇襲その他のどさくさにまぎれて戦力は半減していた。
しかし、これで2軍を壊滅させれば、不謹慎かもしれないが元は取れるというものだった。
他の国に恐怖を与えていたノーザン2軍がいなくなれば喜ぶ人間は多くいるだろう。
「そのあとはどうするんだ」
スタッドが聞いた。
「とりあえず、フレクスの再興のために頑張るしかないだろう」
「スウとの関係は」
「何言ってるんだ。スウは元々釣り合いが取れないんだよ」
慌ててローヤルは言った。
「そうかな、傭兵部隊のトップとジパング王国の王女の婚姻なんて、ジパングにとっては、戦力アップ以外の何者でもないぜ」
「しかし、他の奴らが黙っていないだろう」
ローヤルは言った。
「一緒に渡り合っていけよ」
スタッドは珍しくかしこまって言った。
「スウはそう思っているぜ。平民の出身の王女様だ。新貴族どもの抵抗はすさまじいものがあるぜ。
お前が助けてやらずに誰が助けるんだ」
確かに、キア王子がいなくなってスウを守ってくれる者は少なくなった。
王族は敵と言っても良かったろう。
しかし、スウには銀河一といえるほどの人気があるのも事実だった。
もっとも、それが更に王族の顰蹙を買う事になっていたが。
「その方が傍から見ていて面白い」
最後にスタッドが言った。
「ふん、やはりそういうことかよ」
ローヤルは肩を落としながら言った。
「スウの周りには優秀な若手が一杯いるさ。
他国までかまう余裕はしばらくない」
「本気で言っているのか」
「さあな。いずれにしても、この戦いに勝ってからだ。」
「それもそうだ。また、クリスが余計な事を言ってくるかもしれないし」
「ハクシュン、ハクシュン」
クリスはくしゃみを連発した。
「クリス、また、誰かにうわさされているわよ」
エーミが言った。
「どのみち、そんなうわさをしているのはローヤルかその一党に違いないわ。
私の前に現れたら目に物見せてやるわ」
クリスはきっとして言った。
「でも、彼らは大変なんでしょ。少しくらい多めに見てあげないと。
何しろ未来の王なんだから」
「エーミはローヤルに甘いな」
「あなたと同じくらいにね。」
「ふん」
クリスはエーミの答えにそっぽをむいた。
「きちんとした王子に育ってくれたらよいけど」
まだまだ先の事だった。




