第115話 第五幕 開演 ……現実ってね、実はあなたの見ている夢のことなんだよ。
第五幕
開演 ……現実ってね、実はあなたの見ている夢のことなんだよ。
「星? 星?」
私を呼ぶ声が聞こえる。いったい、誰だろう?
「星? 大丈夫?」
澄くんかな? そうだったら、いいな。(星はふふっと笑う)
星はそっと閉じていたまぶたを上げた。しかし、そこには星の想像していた(あるいは期待をしていた)澄くんの顔はなく、ただゆらゆらと揺れる銀色のランプの光と、そして、やんわりとした暖かい印象を受ける、今さっき切り出してきたばかりのように見える、新鮮な木製の天井があるだけだった。
星はそっと横を向いた。
そこにはオレンジ色の炎を灯した暖炉があった。(星の視界の中に、人の姿は誰も映り込まなかった)
星はベットの中にいた。
どうやら星は、どこかのベットの中で、今までぐっすりと眠ってしまっていたようだった。
「……なんだ。澄くんじゃなかったのか」
星の口から自然とそんな言葉が溢れる。
『悪かったね、澄じゃなくて』
するとすぐに、そんないつも通りの魚の声が、星の頭の中に聞こえてきた。(その声を聞いて、そうか、さっきの声は魚の声か……、と星は思った)
……その数秒後のことである。その言葉がきっかけとなって、星ははっと、意識を(完全に)覚醒させる。
次の瞬間、がばっと星は(自分を包んでくれていたらくだ色の毛布を弾き飛ばすような勢いで)上半身を跳ね上げるようにして、ベットの上に起き上がった。
そしてきょろきょろと、とても慌てた様子で周囲の景色を見渡した。




