第二話
給料をもらった僕は、帰り道を歩いていた。
「真。」
後ろから声をかけられる。
そこには、父さんが立っていた。
「それを渡しなさい。」
父さんは手を差し出し、給料袋を渡すように言う。
「で、でも……。」
「どうせ、お前はそういうことにしか役に立たない。」
その言葉は、僕の心に突き刺さる。
抵抗できない僕は、給料袋を父さんに渡す。
「帰るぞ。」
「はい……。」
冷たい言葉に僕は従い、帰り道を歩いて行った。
後ろからくる視線に気づかずに……。
「酷いなあれは……。」
私の名前は『鬼童亮』天成組の組員だ。
若に言われて、樋口真のことを調べていた。
後ろから見ていたが、あれは酷い。
頑張って稼いだ金を、父親に搾取されているのだ。
「これは、若に知らせなければ。」
この事実に、若はどうするのだろうか。
出来れば、彼を保護したいところだ。
私は来た道を引き返すのだった。
「ただいま。」
「ただいま……。」
父さんと一緒に、家へと帰ってきた。
母さんと当麻が、出迎えてくるが、父さんだけを見ている。
「あなた、お帰りなさい!!」
「父さんお帰り!!」
「当麻、今回の小遣いだ。」
父さんが、僕から奪った給料袋を当麻に渡す。
「ありがとう、父さん!!」
「まぁ、当麻、良かったわね!!」
三人が楽しそうに笑う所を、僕は横から通り過ぎ部屋へと戻る。
「父さん、いつになったら、あいつを追い出すのさ?」
「あいつは、俺達の役に立ってもらう、それまでは追い出さない。」
「そうよね、あいつはクズなんだから。」
「だよねー!!」
その言葉が背中に突き刺さりながらも、僕は頑張って部屋へと戻って行った。
「はぁ……。」
部屋にもどり、机へと向かう。
そして、ノートを開き、今日の出来事を書く。
「絶対、この家から出るんだ……!! 全員見返してやる……!!」
ノートを書き終えると、鍵の付いた引き出しにしまう。
そして、そのまま眠りに着いたのだった。
天成組・事務所
『龍堂寺和真視点』
部屋には俺と亮、そして父の『龍堂時牙井門』母の『龍堂時桜』姉の『龍堂時椿』が揃っていた。
「まさか、和真が惚れるとはねぇ。」
やるじゃんと、姉貴が肘で突っついてくる。
親父とお袋も嬉しそうに笑っている。
俺は咳払いをする。
「亮、情報は入ったか?」
「入りましたよ、結構酷いですがね。」
心の準備は? その言葉に俺は頷く。
まず、家族は祖父と祖母と親戚以外は敵で、いない者扱いされている。
しかし、父親は真さんのせいで家族が壊れたと考えており、酷い扱いをしている。
学校では、虐めにあっており、暴力は振るわれる、金を搾取される、周りは笑っている。
教師も敵で、「虐めらる方が悪い」という考え。
味方は祖父と祖母と親戚、後はバイト先の店長のみ。
「以上が真さんの、情報ですね。」
亮の情報に、俺はガラスのコップを握り割る。
血が出ているが気にしない、俺の惚れた相手が酷い状況下にいることに、腹が立った。
親父とお袋は顔をしかめていて、姉貴は文句を言っていた。
「はぁ!? そいつら最低じゃん!!」
「愚かだな……。」
「おかしな連中もいるものですね……。」
それぞれの言葉に、俺は頷く。
こうしちゃいられない、すぐにでも保護をする。
「若、言っておきますが、無理やり連れてくるのはダメですからね?」
「何でだよ。」
「ただでさえ不安定なのに、無理やり連れてきて、心を開かなくなりますよ。」
「じゃあ、どうしろってんだ。」
その言葉に亮は、ある提案をする。
「ます、バイト先で仲良くなることです。」
「仲良く……?」
「そうです、まずは仲良くなり、心を開いてもらうことです。」
亮がいうには、先ずは仲良くなり、常連になること。
そして、組へ連れてきて、家族を紹介する。
これからどうするのかを決めてもらうということ。
「だけど、学校ではどうすんだ?」
「それなら、あたしが行こうじゃない!!」
俺の言葉に、姉貴が声を上げる。
「姉貴が?」
「そう、これでも学校の先生だし、近づくにはうってつけじゃない。」
「今いる学校はどうすんだよ。」
「転勤願いだす!!」
姉貴の提案は、だれにも止められない。
かくして、真保護作戦が始まった。
『真視線』
「いらっしゃいませー!!」
今日は土曜日、僕はバイトをしていた。
本来ならば休みだったが、一人が休んだため、急遽入ることに。
「樋口!! これ、四番テーブルに!!」
「わかりました!!」
料理をテーブルに運ぶと、そこには、怖いお兄さんたちがいた。
「お、お待ちしました!! こちら、お品物です!!」
「どうも。」
一人のお兄さんが受け取る。
そのお兄さんが、こちらを見ている。
「あ、あの……?」
「あんたが、樋口真か?」
その質問に、僕は、はい……と答えた。
何か失礼なことでもしてしまったんだろうか?
そう考えていると、お兄さんが僕の両手を掴む。
「好きだ、結婚してくれ。」
「え、え?」
いきなり僕は、お兄さんに求婚されました。




