第106話 変化する日常
週が明け遂に7月へと突入した。
と言っても中間テストも終わり、球技大会も終わったのでもうこれ以上行うような学校行事は存在せず、あとはただ7月下旬から始まる夏休みをただ待つだけである。
俺は欠伸をかましながら登校すると、今日は珍しく何人かに声をかけられた。
いつもだったら俺の存在なんてクラスメイトに認知される事なくひっそりと自分の席に座りスマホを触りだすところだが、何故か今日は教室に到着して扉を開けると名前も分からないクラスメイト達に「おはよう」と朝の挨拶をされたのだ。
俺は自分の席に着席し、何故そんな不可思議な現象が起きたのか頭を傾げているとちょうど近くを鞄を肩にかけながら通った佐藤が俺の疑問を晴らすように答えてくれる。
「……お前も球技大会で結構活躍したから皆に認知されたんじゃねえか?」
こいつは相変わらず目線もキツく、その視線から俺を嫌っている事が伺えるがそれでも親切な事に俺の抱えてた疑問に対しての答えを教えてくれるらしい。
「……別に勘違いするんじゃねえぞ?たかが球技大会如きでお前を認めたわけじゃないからな」
佐藤はそう捨て台詞だけ吐いてから去っていく。
……あれは新手のツンデレだと思う事にしよう。
あいつは彩葉への好意から俺に対して強く当たっているが、実は結構いいヤツなんだと思う。
あいつが他クラスでモテる理由はなんとなく分かる気がする。
俺は自分の席に座ってからすぐに鈴木や田中と談笑をし始めた様子の佐藤にしばらく目線をやってからスマホで適当にニュースを漁り出す。
すると突如右肩をポンポンと叩かれたので振り返るとそこには愛花、葵、小豆の球技大会の時に声をかけてくれた3人が笑顔を浮かべながら立っていた。
「おはよ!湊くん!」
「やっほ、湊くん」
「おはよう」
活発に挨拶をしてくる愛花と葵に対して大人しそうに挨拶をする小豆。
俺も「あぁ、おはよう」と返してから改めて3人の容姿を見る。
球技大会の時はそこまでマジマジとは見なかったが3人とも整っている容姿をしている。
流石に彩葉や麗華といった芸能人ほどではないが、クラスに1人いれば騒がれるレベルの美少女だろう。
まぁこのクラスには既に彩葉がいるのであまり話題には上がらないが、陰で狙っている男子がいてもおかしくはない。
そんな3人の容姿だが、まず愛花は赤く染めた髪の毛を後ろでポニーテールに結んでいる活発そうな美少女だ。
スタイルも抜群であり、普通に町を歩けば9割の男子は振り向くであろう容姿をしている。
次にその隣に並ぶ青い髪の毛を後ろに靡かせているのは水瀬葵。
彼女は一見愛花と違って常識人っぽいが本当の性格をまだ知らない為あまり言い切れるものではないかもしれない。
そして1番右に立っている最も小柄な美少女の名前は椎名小豆。
ショートヘアの銀髪におっとりとした眼が印象的な美少女である。
俺はこの3人とあまり関わる事もないだろうと思い、少しの間会話をしてから適当なところで打ち切ろうと思っていたら扉付近から冷たい風が吹いてきてそちらに視線を向ける。
するとそこにはおそらく今登校してきたであろう彩葉がニコリとそれはそれはいい笑顔を浮かべながらこちらを見ていた。
……ただしその笑顔の奥に修羅が見える気がするのは何故だろうか。
俺は彩葉のその姿を視界に入れてから何故かこのままではヤバいと思い、すぐにその場で立ち上がり3人に「悪い、トイレ行ってくる」とだけ告げて教室を出る。
と言っても特に用を足したいわけでもないので俺は廊下を適当に彷徨いながら朝礼が始まるまで時間を潰す。
スマホで都度時間を確認しながら歩いているともう少しで朝礼の時間になるのでそこで俺は教室へと戻り再度自分の席へと着席した。
それから比較的すぐに二宮先生が教室にやってきて朝礼が始まった。




