4 危機
キャンピングカーの中で康平はうめいていた。肩を迸る激痛と悪寒が体と精神を襲う。
その視界の外で、“悪魔”は立っていた。黒光りする手に、銀色の爪が生えている。そこには拳銃らしきものが握られている。顔には大きな突起物が生えていた。目は銀色に光っている。人間離れしている体格は悪魔と言うより野獣だった。
悪魔はひたひたと康平に忍び寄り、拳銃の檄鉄を起こすと、無表情のまま引き金をひいた。
そのころ涼は不審な銃声を聞き、二階から降りてきた。焦ってはいるが、慎重に足を進めた。
両手で拳銃を構え、辺りに向けた。窓際のカーテンが風になびいていることぐらいだった。荒らされた形跡もなく、何かが出入りしたわけでもなかった。
ただ問題なのは、康平との交信が途絶えた事だった。2発の銃声が聞こえたが、1発目ですでに途絶えたのだった。嫌でも交信をするはずなのに……
すると無線からわずかに声が聞こえてきた。
“りょ……は……やく……”
聞き取りづらく、奇妙な雑音が混じっていた。しかし、緊急だということだけは分かった。
「今行く!」
涼はそう言い、キャンピングカーへ向かって走り出した。
キャンピングカーの中は静まりかえっていた。所々、康平と思われる血痕が見つかったぐらいだった。いつも開発に取り組んでいた、大きいテーブルには荒らされた痕があった。
「遅かったか……」
涼は惨劇を目の前にした。キャンピングカーの窓が強引に裂かれていたのだ。硬いモノで。
「康平、返事をしてくれ」
無線に叫び続けたが、返事が返ってくることはなかった。




