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毒樹の果実  作者: ヒゲ博士


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中条 夕里(偽名マヒル)に関する調査データ

調査報告書:中条 夕里に対する監視および尾行工作の現状について

作成日: 令和8年4月18日

作成者: 陸上幕僚監部運用部第n課 調査担当官

1. 調査前提

被調査者・中条 夕里(以下、対象)に対する他国工作員との関連性(スパイ活動の是非)の確認。

2. 調査の経緯

対象が茨城県内の実家に居住していた時期に限定して調査を開始。スマホのGPS信号を追跡し、都内移動時の尾行工作を常時実施(提示されたイラストはその際に撮影されたもの)。

実家退去後の導線については、元自衛官・ムタ及び個人的な配信活動のみ確認。

3. 妨害工作の発生

都内での尾行工作実施中、神栖連合構成員・通称『クロ』(本名:黒田一樹)および同集団による、対象への物理的接触と、それに伴う当方調査官への執拗な尾行・妨害工作(提示されたイラストの立ちはだかり現象を含む)が頻繁に確認された。

4. 尾行工作の失敗

神栖連合による組織的な妨害工作によって、対象の尾行工作をロスト。その後の背後関係(スパイ組織との接触の有無)についても追跡不可能となった。


5. 結論と提言

現時点では、対象のスパイ活動を示す直接的な証拠は得られていない。妨害工作の発生を踏まえ、対象が意図せず他国の工作活動に利用されていた可能性も含め、神栖連合と他国スパイ組織の関連性の調査を優先すべきである。





身辺調査報告書:対象(中条 夕里)

管理番号: GS-2026-0916-M

調査主体: 陸上幕僚監部運用部第n課(アララギ班特命調査員)

1. 身体的特徴および医療情報詳細

地元・茨城県内の「佐藤内科・小児科(町医者)」より任意提出されたカルテ、および最新の身体録に基づく。

基本体格: 身長156cm、体重39kg。標準を下回る痩身。慢性的な低栄養状態が疑われる。

外部的特徴: ウルフカット(内側に金色のインナーカラー)。首筋から鎖骨にかけて、自傷行為による複数の古い瘢痕。

内科的所見(カルテ抜粋):

肝機能指標(AST/ALT): 常時異常高値を記録。市販の鎮痛剤および精神安定剤の過剰摂取(OD)による薬剤性肝障害。

胃粘膜の状態: 慢性的な胃炎。拒食傾向と薬剤摂取の悪循環により、内壁が著しく荒れている。

町医者の所見: 「診察のたびに表情が異なる。他者の視線を極端に気にし、医師が話す言葉の『正解』を常に探っているような挙動を見せる。身体的には20歳とは思えないほど摩耗している」

2. 精神的特徴および通院歴

県立精神保健センターおよび民間メンタルクリニックの通院記録を照合。

診断名(暫定): 境界性パーソナリティ障害、複雑性PTSD。

通院歴:

14歳: 中学校教諭との不適切な交際発覚、およびその後の社会的孤立。この時期に最初のリストカットを確認。

16歳: 家出。都内メンタルクリニックにて「依存性パーソナリティ」の指摘。

19歳: 牟田(M)と出会った時期。一時的に通院を中断。「安定期」に見えたが、実際には対象がMの性格をトレースすることで『平穏な自分』を演じていたに過ぎない(鏡現象)。

精神科医の分析ノート:

「対象にとっての『死』は、終わらせることではなく、誰かに自分という存在を決定的に刻み込むための『手段』として機能している。自衛官Mへの執着は、彼が持つ『絶対的な肯定感』への寄生に近い」

3. SNS「裏の裏」アカウント(秘匿調査結果)

真壁名義の貸与端末(iPhone 13)から発信されていた、秘匿性の高いアカウントを特定。

アカウント名: @void_mirror_00

フォロワー数: 0

特性: インプレッションを一切期待せず、検索避けを施した「愚痴の掃き溜め」。

投稿停止時期: 令和8年4月17日深夜(マヒル失踪/スマホ紛失時期と完全一致)。

【主要投稿内容の解析】

「OD後の混濁した呟き」

「あおい、あおい。白がいっぱい。12錠じゃ足りない。景色が溶けてるのに、どうして心臓だけはこんなにうるさく動いてるの。もう全部消えちゃえばいいのに」

「ムタとの別れに対する懐疑」

「ムタさんからLINEが来た。『肉体関係は暇つぶしだった』って。文字の並びが、冷たい。刃物みたい。……でも、本当にムタさん? あの人が私を捨てる時、あんなに綺麗な日本語を使うかな。あんなに完璧に私を傷つけるかな。あの人はもっと、不器用で、熱かったはずなのに」

「真壁に対する偽りの平穏」

「真壁くんは優しい。ムタさんがいなくなった後、毎日連絡をくれる。私のために泣いてくれた。……でも、どうしてかな。彼が笑うと、背中が氷で撫でられたみたいに寒くなる。あの優しさは、私を助けるためのものじゃなくて、私を閉じ込めるための檻みたいだ」

「失った友人への追憶」

「学校にいた時のこと、時々思い出す。あの子だけは『汚くないよ』って言ってくれた。でも、そのあの子もいなくなった。世界はどんどん掃除されていく。私みたいなゴミを一人も残さないように」


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