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転生したらO阪府警マル暴捜査員だった件  作者: 川北 詩歩


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交通事故は突然に

 俺は、森口章夫(もりぐちあきお)、28歳。




 高校卒業後は部屋に引き籠り、『呪●廻戦』の五●悟に心酔し、ネットで『〇しの子』の考察スレに書き込みまくる日々を送っている。親の脛を齧って自分の安寧を得ているアニオタだ。




 今日は『キミ●リ♪』の同人誌即売会で推しキャラ・キュン●ュンの可愛い同人誌とグッズを多数ゲットした。




「はああああああ…可愛い!尊い!心がきゅんきゅんするぅ~。帰ったら俺の部屋に飾って愛でるぞぉ~!うへへへ」




 まあ、これ、全部親の金で買ったわけだが、そんなのどうだっていい。この尊さに勝る物はない!推しこそ正義。推しこそ命!




 降り出した雨で戦利品が濡れないように、会場から帰る前に、あらかじめ用意していた大き目のビニール袋でしっかり四重にして梱包しておいて正解だった。天気予報では午後から雨。きちんと把握していた俺は天才だ。万全の対策、これぞ推し活の要かなめ!




「思ったよりも雨が強くなってきたな。早く帰らないと…」




 横断歩道の信号が青になったことを確認して一歩踏み出したその瞬間、俺は目映い光に包まれた。




「へ?」





 プアァーーーーーーーーーーーーーー!!!





 ――なんで、トラック…!?




 信号無視の暴走トラックが、俺に接近してきたことに気付いた時には、既に俺の体は激しい衝撃と共に高く宙を舞っていた。




 ――痛・・・




 痛みを感じたのはほんの一瞬。その一瞬に全ての痛みが怒涛のように注ぎ込まれたのだろう。俺の視界から全ての景色が黒く塗り染められる。体が動かせない。目を開けることも、指一本動かすこともできない。




 ああ、死ぬんだな、俺。俺の人生は何だったんだろう。俺、もっと推し活したかったのに。まだ欲しいグッズもあったし、コミケも行きたかったのに…。




 事故に気付いたらしい周りの人たちが、人命救助のために近づいてきた。横断歩道は一気に騒々しくなった。何も見えないけど、声と音は耳の奥まで響いてくる。




「大丈夫か!?」




「早く救急車呼べ!」




「警察も呼ぶんだ!」




「あ、あ、あああ、なんで…。俺のせいなのか…?」




 トラックの運転手らしき声もする。クソが。どう考えてもお前のせいだろうが。俺は信号守ってたんだ。お前が悪い。信号無視して突っ込んできたお前のせいだ!




 サイレンの音が響く。雨の音と怒号に似た声も混ざっていて、きっと事故現場はカオスだろうな。全然見えないけど。きっと、俺の宝物が散乱してたりして、SNSで『事故現場すげー。散らばってる物がオタク臭するのヤバいw』とか曝されたりするんだろうな。




 クソが!!そいつら全部呪ってやりてぇ。呪い方とか知らんけど。…なんかねむくなってきた。ねむい。すごくねむい。


 俺の意識が、真っ暗な中に落ちていく。

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