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セトは違和感を覚えた。こちらが優勢なはずなのに、胸をざわつかせるこの感覚は一体何なのか。思案する中、視線をトーラの腕に向けた瞬間、その違和感の正体に気づいた。
刺したはずの腕に、血が一滴も流れていない。それに気づくや否や、セトは素早くトーラから距離を取った。
「ほお、いい勘をしているじゃねえか」
トーラはニヤリと笑い、雷の魔法をセトに放つ。そのうえ、自分の斧を魔法で引き寄せた。
「トーラ、あんた回復術は使えないはずだろ!?」
セトの驚きに対し、トーラは不敵な笑みを浮かべる。
「見ての通りだ。この新しい力のおかげさ」
セトの目に映ったのは、トーラの腕から立ち上る黒いオーラ。明らかに異質な力が感じられた。
「その腕・・・まさか!」
腕から溢れ出した闇の力は、瞬く間にトーラの全身を覆い始めた。
「紹介しよう。この力こそが、俺が手に入れた新たな力だ」
闇の力をまとったトーラは、セトに向かって斧を振るう。その一撃は斧から風の刃を生み出し、鋭い勢いでセトに迫る。
セトは剣を構えてそれを受け止めた。だが・・・
「威力が全く落ちないだと!?」
衝撃がセトの剣を通して伝わり、負荷に耐えきれなくなりそうだった。さらに、このまま攻撃を後方に流せば部下たちに被害が及んでしまう。
「仕方ない・・・!」
セトは咄嗟に風の刃を上空へと弾き飛ばした。
「ほう、流石だな。この攻撃を受け流すとは」
トーラは悠然と見下ろしながら再び斧を振るう。今度はさらに力を込め、連続で風の刃を放った。
「もう一度、この攻撃を防げるか?」
「同じ手が通じると思うな!」
セトは強がりを見せたが、内心では策が尽きかけていた。再び迫り来る刃に、必死で剣を振り、まず一つ目を弾き上げる。だが間髪を入れず二つ目が襲いかかる。
「くっ・・・!」
セトは歯を食いしばりながら二つ目の刃も受け止め、同じように上空へと弾き飛ばす。
「ほう、見事だな」
トーラの言葉に余裕があったが、セトも内心ではホッと息をつく。二つの刃が別々のタイミングで来たため、攻略法を繰り返せたのだ。セトの驚異的な反射神経があってこその成し遂げられた技だった。
「その風の刃は見切ったと言ったはずだ。二度も通用するものか」
「ふん、確かにお前は強いよ。だが、それでも俺を本気にさせるには至らない」
「・・・何だと?」
「証拠を見せてやる。次で決着をつけようじゃないか」
トーラは斧を高く掲げ、全身から闇の力をさらに増幅させた。それを見たセトもまた、剣を構え直し全神経を集中させる。次の一撃が勝敗を分ける瞬間だと、誰もが感じ取っていた。




