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男は驚愕していた。
まさか、自慢のロボットが破壊されるとは思いもよらなかったのだ。
「こんな馬鹿なことが……」
「僕らの勝ちだね。ここにいる人たちを解放してもらうよ」
ジュンが勝利を確信し、淡々と言い放つ。
ロボットを破壊した相手に挑むことが無意味だと悟ったのか、男は観念した様子で口を開いた。
「……わかった。この建物で働かされている者たちを助ける方法を教えるよ……」
彼が語ったのは、捕らえられている人々の手錠が戦う力を奪うための特殊な装置であること、そしてそれがコンピュータで管理されているということだった。さらに、その解除方法も説明してくれた。
「本当に大丈夫なんだよね?」
ジュンは念を押すように確認する。
「だ、大丈夫だ……本当に……」
「まあいいや。とりあえず君は縛っておこう。それから、みんなを助けに行くよ」
男を拘束し、3人はその先にあるコンピュータ室へ向かった。
部屋に入ると、巨大なモニターが目に飛び込んできた。画面には囚人たちの監視情報が映し出されている。
「これで人ひとりずつ管理してるのか……嫌なシステムだね」
ジュンがコンピュータに向かい、操作を始める。
「これかな……あ、解除プログラム発見!」
ジュンがプログラムを実行すると、モニターにロック解除を示すメッセージが表示された。
その瞬間、隣の部屋から歓喜の声が響いてきた。
「ん?何だろう?」
3人は声のする方へ急いで向かう。
そこには、手錠が外れ、喜びを爆発させている人々の姿があった。そして、その中に見覚えのある顔を見つけた。
「ヒロ!」
「ジュン!どうしてここに?」
ヒロと再会したジュンは、今までの経緯を簡単に説明した。
「外では作戦が始まってるんだよ。僕らも何かできないかなって調べてたら、君たちが捕まっているのを知ってね」
「そうだったのか……本当に助かったよ。国が総攻めに出たのなら、自分たちもこの借りを返さないとな!」
リフィリア王国の兵士やギルドメンバーたちは、すでに戦闘の準備を整えていた。武器も万全で、戦意も高い。
「全員、突撃だー!」
兵士のひとりが声を上げると、全員が一斉に外へ飛び出していった。その勢いに、ルイーザたちはただ見送るしかなかった。
「すごい気合いだね……」
「うん……」
ふと、ルイーザが視線を落とす。そこには、未完成の兵器が残されていた。
「これ、どうする?」
「とりあえず壊そう。このまま放っておくと誰かが完成させるかもしれないし、国に危険が及ぶ」
ジュンとルイーザは、以前舟堀タワーで使った要領で兵器を破壊することにした。
「念のため、この設計書のデータも消しておこうかな……あ、でも」
ジュンは考え込む。
「どうしたの?」
「いや、設計データはこのコンピュータにあるかもしれないけど、バックアップが取られている可能性も高い。結局、設計した本人をどうにかしないと根本的な解決にはならないよね」
「それってつまり……」
「ローデンを倒すか、捕らえるかしないとダメってことさ」
ローデンが設計した兵器である以上、彼を止めなければ同じことが繰り返されるだろう。
「僕たちだけで何とかできる問題じゃないし、とりあえずセトさんに報告しよう」
こうして、3人は外へ出て、セトがいる戦場へと向かった。




