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現れたのは巨大なロボットだった。あまりに大きすぎて、全体の姿が見えないが、その圧倒的な存在感からして、かなりの巨体であることは間違いない。
「ふはははは……これが我らの兵器だ!」
ロープで縛られている男は、急に強気の態度に転じた。
「確かに強そうなロボットだ。ただ……」
ジュンはどこか違和感を覚えた。
「これが労働者を見張っていたというのか……」
「ただのデカブツだと思わぬことだ。我らの組織の科学力を甘く見てもらっては困るぞ。このロボットには様々な高性能な機能が備わっている。たとえば……」
ロボットの目に一瞬光が走り、エネルギーの波動を感じ取る。
「ルイーザ、ウェンディ、気をつけろ!」
ジュンの警告が的中した。ロボットの目から強烈なレーザーが放たれる。3人は間一髪で回避したものの、レーザーが直撃した地面はドロドロに溶け、恐ろしい破壊力を目の当たりにする。
「すごい威力だ!」
「どうだ、我が兵器の力を思い知ったか!」
「確かに恐ろしい威力ね。こんなのが戦場に投入されたらたまったもんじゃないわ」
「おっと、このロボットが1体だけだと思ったのか?既に戦場には複数が投入されているぞ」
男の言葉を裏付けるかのように、遠くからもジュンたちと同じようなレーザー音が聞こえてくる。セトたちも同じ型のロボットに遭遇しているようだ。
「まあ、囚人を見張るだけにこんな兵器を使うわけないわよね」
「呑気なことを言ってる場合じゃないわ。これをどうにかしないと」
「面白いね。このロボットを倒すつもりか?」
「やってみないと分からないが、どこかに弱点があるはずだ」
ジュンは攻撃を避けながら、ロボットの構造を観察する。目の前の敵はレーザーだけでなく、繰り出される巨大なパンチも破壊的だ。直撃すれば、「痛い」では済まされないだろう。
(舟堀でクルールに教わった貫通技を使えば、ある程度の防御は無視できるけど……急所を突けない限り、効果的なダメージにはならないな)
「ジュン、何か対策を考えないと」
「分かってる。でも、どこが弱点なのか分からない限り、手当たり次第に攻撃するしかないか」
とりあえず試すしかないと、ジュンはロボットの足を狙って銃弾を放つ。命中はしたものの、大きなダメージは期待できないようだ。
「ダメージは入るけど、致命的な場所じゃないみたいね」
「じゃあ、次は私が試すわ」
ルイーザは弓を構え、ロボットの頭部を狙って放つ。矢は見事に命中し、少し動きが鈍ったように見えるが、それでも攻撃力に変化はない。
「そこも弱点ではなさそうね」
「片っ端から試すのは効率が悪いわ。2人とも、私の合図で、特定の場所を集中攻撃してもらえる?」
「分かったわ!任せて!」




