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5-8

「目立たないように入る方法か……」

ルイーザがぽつりとつぶやいた。


「いっそ、捕まったふりをして中から攻めるのはどう?」


「それはもう試したさ」

セトが眉をひそめる。

「捕まる時に持ち物検査がある。当然、武器を持っている者は没収されるし、魔法を使う者はそれを封じる腕輪をつけさせられる。そうなると反撃はまず不可能だ」


ふと、ジュンが尋ねた。

「あの街には、レベルを持たない普通の人もいるはずだよね?そういう人たちはどうなるんだろう?」


「彼らは特に何もされないらしい。武器も魔法も使えない人々だ。敵にとって脅威ではないからだろうな」


「なるほどね……」

ジュンは腕を組み、考え始めた。そして、ふと顔を上げる。


「待って、つまりさ。僕らみたいにレベル6未満だと、武器を取り上げられるだけで、腕輪までは付けられないんじゃない?」


「なっ、君達がそれを利用するつもりか?」

セトが驚き、声をあげる。


「他に方法がないでしょ?」

ルイーザが口を挟む。

「土地勘のあるジュンを私が守る形で行くのが一番合理的よ」


セトは渋い顔をしたが、彼女の言葉に反論できない。ジュンが付け加える。

「それに僕が手伝えば、ルイーザが1人で危険を背負う必要もない。武器を確保できれば、戦える兵士たちに繋ぐことだってできるはずだ」


「それは確かにそうだが……」


「なら、決まりね!」

ルイーザが満面の笑みを浮かべる。


しかし、その空気をウェンディがぴしゃりと遮った。

「待って。医者として私は反対よ!あなた達、前回の戦いで死にかけたばかりでしょ?今行くなんて無謀すぎるわ!」


ウェンディの真剣な表情に、一瞬沈黙が走る。だが、ジュンは真っ直ぐに彼女を見つめた。


「ウェンディ、頼むよ。この場にはそれぞれ守りたいものがある。ルイーザはこの国、僕は母校――鶴小島の街。それなのに何もしないまま待つなんて、僕には耐えられないんだ」


「でも、そんな無理をしたら……」

ウェンディの声が少し震える。彼女は2人の覚悟が固いことを感じ取っていた。


「だったら、こうすればいい――」

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