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物語部員の生活とその意見  作者: るきのまき
12・みんなの物語
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12-1話 物語の謎を解く7つのグッズが何なのかわかる

12-1話 物語の謎を解く7つのグッズが何なのかわかる

 9月になって新学期がはじまり、まだ髪が短いままの鳴海和可子さんはおれのクラスに復帰して(本当だったら留年だったところを、学校のほうが夏休みにいろいろサポートしたらしい)、クラス担任は彼女を雑に紹介し、雑に席変えをした結果、窓際の一番うしろの席がおれ、その隣が鳴海和可子さん、その隣が紺野陽になり、どうでもいい人がひとり転校したので、おれのクラスは引き続き28人の完全数だった。

「これからはリアルでよろしくお願いしますね、陽さん」と、和可子さんはまず右のほうに挨拶し、「あっ、備くんもよろしく」と、おれはあとからついでのように挨拶された。

 昼食はいつもの、おれと紺野、それにどうでもいい人ふたり(よくはないんだけど、話を入れるとこれがまた長くなるんだよな)のメンバーに、和可子さんが加わることになった。

 男女のグループで昼食というのもあまりないことだが、今のところどうでもいいことになっている男女のふたりは和可子さんにとってはクラスでの数少ない顔見知りであり、おれたちは普通にくだらないことを話していた。

「これでもう、クマさんの「目」はいらなくなりますね。クマさんはこれから、超クマさんとでも呼べばいいのかな」と、おれは一般人のいるところでうかつなことを言い、和可子さんは口に人差し指を当てて、こう言った。

「そう言えば、今は医者になろうと思っている友だちは、昔は私立探偵になりたかったんですよ。なんか大変そうですよね、謎をずばっと解決する名探偵の時代に、そんなものに憧れるなんて。英語だとディテクティブじゃなくてプライベート・アイかな」

 おれは手元のコッペパンを見ながら、30秒ほど考えていた。

 神であるヤマダは、この物語の作者が誰なのか知りたがっているおれに、数か月前に言ったんだった。

『そしてまた、始業式がはじまってすぐ、立花はこの鍵を借りにきた。物語の謎を解く7つのグッズのひとつとして。これ、立花はよく覚えておくように』

 今まで全然忘れていたよ。

 そしてヤマダが言った「7つのグッズ」について、指を折りながら数えてみて、そして立ち上がった。

「わかったよ、ヤマダの質問の答が何なのか、世界は何なのか、ってことが。これで謎は解決する」

 昼休みの教員予備室に、おれは走って行った。

「わかったよ、ヤマダ!」

 そこにはどうでもいい教師が、ヤマダの伝言メモをおれにくれた。

『まず藤堂さんのところに行け。それから全裸禁止な』

 ひどい。

 しょうがないので、藤堂さんと、その友だちの樋浦清、市川醍醐のふたりの物語部員がいるクラスに走っていった。

「わかったよ、清、市川!」

「な、何がどうわかったの、備…全裸で?」と、清は言った。

「全裸じゃないっつーの。藤堂さんの卵焼き、まだある?」

「遅かったな、もうとっくに全員で食べ終わった。欲しけりゃまた明日来い」と、藤堂さんはクールに言った。

 そうか、昼休みになったら最初に藤堂さんの卵焼きを受け取らなければいけないんだ。

「じゃあ明日、絶対よろしく頼みますよ」と言っておれは、今度は物語部の部室に行った。そこでは樋浦遊久先輩が、ごろごろしながら読むのは大変難しい『大岡昇平全集』の雑文の巻を、ソファでごろごろしながら読んでいた。

「作者がだいたいわかりました、先輩! それから、おれは全裸じゃありません」

 明日は物語部全員が週に1回集まる日なので、くわしいことは明日話すから、とおれは言った。

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