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物語部員の生活とその意見  作者: るきのまき
7・千鳥紋の物語・その1
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7-1話 黒千鳥と白千鳥

 私、千鳥紋の中にはふたつの記憶と人格があるが、それらは優雅に結びついているので、一人称で何かを語るとき以外は分裂しない。鍵当番の日の昼休み、物語部の部室で、私は髪のリボンをほどくように、死なない人たちの眷属である黒千鳥(仮)と、死んでいたかもしれない白千鳥(仮)にわかれて、お互いに会話をする。話す白は、黒がその光をたどってリアル世界に回帰したときと同じように、少しきらきらと話す。聞く黒は、何でも知っているので少しほほえんでいる。

「だいたい、バックアップなしの知性体って、あり得なくない? 死んだら全部こう、なかったことになるなんて、ないでしょ普通。テキスト作ったって、クラウドとハードディスクに保存してるよね?」

 部室にいるのはだいたい私たちと人工知性体のクマのぬいぐるみ(ワカクマ)と、実体はまだ病院にいる鳴海和可子さんの精神で、中から鍵をかけているので、鍵を持っている物語部の顧問であり神でもあるヤマダ以外には入ることができない。

 白と黒で会話をするのは、家族さえ5年以上入れていない自分の部屋とこの部室だけで、部室でも他のメンバーがいるときには分裂しない。そんなややこしい設定を入れたら多分読者がついてこれないだろう。

「だいたい今どき「だわ」とか「なのよ」なんて女性語で話す登場人物なんて、物語の中でも滅多にいるわけないやん。なんか私のキャラ、妙な方向で作りこみてない、作者さん?」と、私(白)は作者に聞いた。

「すみません」と、作者は私(白)にあやまった。

「キャラデザインだって、これはどっかの高校の探偵部にいる、いろいろ気になる、ていねい語で話す女子のパクリだよね?」

「まあ探偵部じゃないけどね。キャラデザイン的には漫画研究会兼任の子のほうが、鳴海和可子に近くなる予定なんだ」

 聞いていたワカクマが少し笑った。

「ていねい語で話すのはあたしのほうですけどね」

 ということで、私と鳴海和可子さんは作者を知っている。

     *

「あーあ。なんかキャラ立てって面倒くさくない?」と、私は口をЗ(キリル文字におけるゼー)の形にして、教室でぼやいた。

 話を聞いてくれているのは、小学校からずっと委員長で、私の遠い親戚だから私と同じぐらい美人で、ボランティア部に所属しているので他校にも友だちの多い優等生の後藤景子ケイちゃんだ。世間的にはケイちゃんさんとかケイちゃん先輩とか言われて後輩にも慕われている、使い勝手のいい友だちだ。彼女のおかげで、サボり続けだった(別にサボってたわけじゃなくて、学校に行けなかっただけだけど)小学生時代も、死からよみがえって教師と問題起こしてばかりいた不良の中学生時代も、物語部員の重い宿命を背負った高校生である現在も、そんなにひどく普通の人たちと浮いている気はしない。

 私がケイちゃんの話をしても、どうせでたらめだろうと言う人ばかりになっちゃうんで私の話をすると、私の体はいろいろあって、とても成人するまでは持たない、と、大病院の先生(複数)に言われていた。あ、これは白のほうの私の話ね。多分最後の入院だろう、ってときに、黒の私が来て契約した。私は神も悪魔も信じていなかったが、私の体でよかったら、と同意した。

 黒の私は何度でもよみがえることはできるんだけど、そのためにはリアルな体と精神が必要らしい。死んだ(あるいは殺された)黒は、定期的にバックアップされているんで、データとしてはいつでも復旧可能。ただし、どういう理由で死んだ(あるいは殺された)かは、わからない。

 私(黒)は、狐でありながらこの高校のスーパー一年生であるツインテールの紺野陽を疑っているようだが、正直なところ何度でも死んでるんだから、誰が殺したなんかあまり気にしてない、と言う。

「死は冷たくて、暗くて、こわいの。辺土リンボーはバックアップ・ポイントだけど、そこから肉体的に復活するには、もう死んでたほうがましかと思えるぐらい」

「うんうん、モンちゃんが死にかけたときのことは、私もよく覚えているよ。親指と人差指で作った輪っかぐらいの腕の細さでさ」

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