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物語部員の生活とその意見  作者: るきのまき
4・立花備の物語・その1
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4-1話 物語部に置くことになったワカクマとその他の物語

 そして樋浦清を除く5人の物語部員は、藤堂さんが手配してくれたワゴン車で高校の部室まで、そのクマの人形を抱えて帰った。部室の壁ぎわ、テレビと冷蔵庫の間にパイプ椅子が置かれ、そこにクマの人形は置かれることになった。

「いろいろどうもありがとう」と、鳴海和可子でもあるクマは言っておじぎをした。

「ここでワカクマが見聞きすることは、あたし、つまり病室の鳴海和可子にも見聞きできる。年野夜見さんの説明はていねいなので、部員のみなさんはどういう人なのかだいたいわかっている」

「でも、その格好じゃ超未来技術すぎて教室に持ち込むのは無理だな」と、おれは言った。

「そこでお願いなのだが」

 クマは右目を取り出して樋浦清に渡した。それは小さくて黒いボタンのように見えた。

「これを君につけていてもらえないかな。服のボタンとかエンブレムとか、目立たないようなところにつけられると思う。受信だけじゃなくて送信、つまりあたしとの直接連絡も可能だ」

「はい。でもどうしてわたしなの?」

「同学年の女子だから。あと、ちょっと夜見にもボタンつけて発信してもらったんだけど、電波が弱いのか、何か邪悪なものが妨害しているのか、病院からではうまく受信できなかった。それから、男子に頼むのはどうもな。トイレとかいろいろ…」

「わかった。食事とかは大丈夫?」

「本体の乾電池が切れそうになったら換えてくれ。右目は元の位置に戻して充電すれば問題ない。あと、水に濡らしたりはしないこと。部員のきみたちがいないときは、授業に遅れないよう自習したり、部屋の本や録画したビデオでも見てるよ。それから、たまにはいろいろなところを見て回りたいな」

「それは俺にまかせろ」と、ワカクマとたいして大きさの違わない樋浦遊久は言った。

「抱っこして連れていってやるぞ。妹みたいな子の世話は俺が得意なんだ。でも、和可子さんはずっとこのままなの?」

「心配ない。夏までには意識が回復して、リハビリして、9月には学校に戻れることになっている」

「要するに、水着回には間に合うってことですね」と、つまらないことを市川醍醐が確認した。

「なんだその水着回というのは…ああ、検索した。あまり期待しないでくれ。でも夜見には期待してもいいぞ。彼女は隠れグラマーだ」

「あの、ちょっと聞きたいんだけど」と、おれは言った。

「和可子さんの意識が戻ったら、おれたちが消えちゃうってことになるんですか」

「ああ、つまりきみたちがあたし、鳴海和可子の物語なんじゃないか、という心配だな。さあそれはどうだろう。むしろあたしが、誰かの物語のために作られたキャラクターじゃないかと思ってるくらいなんだ。始業式の日に、事故で入院する女の子が、そんなに全国でいっぱいいる、ということはない。だから多分、あたしが目を覚ましたら、あたしは物語の中の物語の登場人物となるだろうし、ワカクマも別の人格を持ったキャラクターとして話に参加するだろう」

「そうなんですか、ややこしいですね」と、市川醍醐は言った。

 ということで、物語部員の部室には、持ち歩くには少し大きな、片目にアイパッチをしたクマの人形が置かれることになった。

     *

 昼休み、屋上ではあまりにも暑いので、中庭の木の側に置いてあるベンチで、いつもながらひとりで売れ残ったパンの昼食を食べていると、連絡をしておいた市川醍醐と樋浦清がやってきた。

「用って、いったい何ですか」と、醍醐は聞いた。

「おまえら、シェイクスピア『ハムレット』の真犯人を知っているか?」

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