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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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見ていた世界 知った現実


農業をしている家庭で育ちました。



覚えている光景は



煙草をふかしながら

畑の横のコンクリの上に座る祖父


小さな木の椅子に座って

鍬を片手に雑草を除ける祖母


軽トラでどこかへ向かう祖父


山からガザガザと降りてくる祖母


筍を採りにいくぞとツルハシを抱える父


隣のハウスの人と談笑する祖父


電話をすれば学校へ迎えに来てくれる父と母


えんどう豆の皮を剥く祖母


買い物から帰ってくる母


犬の散歩をする祖父


スイカの種を口から飛ばす父


作業場のストーブで干しイカを炙る母


その炙ったイカを食べる兄弟


一斉に苗を植える家族と親族


苗のポットを競って集める兄弟





もうフワッとしか思い出せない昔の光景です。


基本、楽しかったです。


なんだか


自由で


のどかで


広々していて


時々みんなで頑張って


走り回って


手伝って


何か食べて


汚れようが


汗をかこうが平気で


小学生に上がった頃


こんなに人間がいるのかと驚いたほどに


広大だけれど小さな世界で生きていました。



外の世界は


初めての楽しさも


上手くいかないもどかしさも


なんだか馴染めない歯痒さも


親友ができる喜びも


没頭できるものとの出会いもあって


やはり、基本、楽しかったです。




そんな自分の生きてきた時間と同じ長さだけ


父、母、祖父母は農業をしていたのか


そう考えた時


続けていくことの難しさも


繰り返していくことの辛さも


上手くいかなかった時の歯痒さも


全部丸めて飲み込んで


私を育ててくれたのだと


最近感じる時があります。




きゅうりがめちゃくちゃ忙しい時期に

迎えに来てと連絡をすれば、来てくれました。


仕事が終わってヘトヘトな時でも

ちゃんと机にご飯が出てきました。


昼寝をして休んでいる両親に出かけたいとせがめば、

連れて行ってくれました。




どんな仕事でも関係ありませんね。




仕事をしながらも


自分のために時間を割いてくれていたのだと


父と母の手伝いをするようになって気付き、


感謝が深くなった感じです。




現に今も


孫が迎えにきてと言ったら


仕事の手を止めて誰かが車で走ります。




「息抜きよー」




そう言って車に乗り込む母。


それを許す父。


その分仕事の時間は伸びますし


父の仕事は増えますが


なんだかんだ


こんな感じで


家族のことを考えてくれていたのだと


ふんわり見えるようになりました。




私はこうやって


育ててもらったんですね。















「「育てた記憶はない」」


父と母からの一言です。


私は勝手に育ったそうです。


ああそうですか。


感動を返して下さい。


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