きゅうりの反抗期
何日も何ヶ月も、
毎日毎日きゅうりを実らせてくれる金のなる木。
そんなきゅうりのつるは、
季節の変わり目や急な温度変化、天気などで、
少し機嫌が悪くなります。
父曰く『きゅうりも疲れる』だそうです。
そりゃそうか。
毎日きゅうりを収穫して
世話をしている人間が疲れるんですから、
きゅうりのつるだって疲れますよね。
そんなお疲れモードの時は、
きゅうりのつるが反抗期に入ります。
綺麗な実を作らなくなるんです。
うぃーんと、ほぼUの字に曲がったきゅうり。
(真っ直ぐ育ちたくなかったのかな?)
真っ直ぐに育っているように見せかけて
お尻あたりでカクッと曲がってみたきゅうり。
(危ない。Aの箱に入れるところだった)
2本が癒着するように引っ付いたきゅうり。
(ひっ…つくんだ…え?すごい。板みたい)
ひらがなの「の」の字になっているきゅうり。
(かわいい)
ひらがなの「の」の字から更に伸びたきゅうり。
(カタツムリの形みたい。これもかわいい)
ひらがなの「し」の字になっているきゅうり。
(達筆!)
真っ直ぐに成長してくれたけれど
輪ゴムで縛ったような痕があるきゅうり。
(輪っか。コレが輪っかなのね。輪っかはCね)
一個の輪っかだけでは気が収まらず、
3個、5個と輪っかを多く発生させたきゅうり。
(ボッコボコね。はい、C〜)
マンゴーみたいなボディのきゅうり。
(わ。ずっしりしてる)
もう、文字で表現できないおかしな形状のきゅうり。
(……Cだね。ふふ。変な形)
腕輪にもできそうな
綺麗なドーナツ状になったきゅうり。
(家に持って帰って、腕にはめてみた。満足)
かくれんぼして
3倍から5倍のボディになったきゅうり。
(葉っぱがね〜
この葉っぱがあるからきゅうりが見えないのよ)
葉っぱに密着して隠れすぎて
緑のボディが一部黄色くなったきゅうり。
(君が緑になるのには、お日様の光も必要なのよ)
などなど
個性の強いきゅうり達もいます。
そんなきゅうりを見つける度に
「え!すごい!」
「可愛い〜」
と、いちいち感動していた娘。
父と母は
何言ってんだか。
と、冷めた様子で娘を見ていました。
月日が流れると。
(あ、曲がりのきゅうり)
パチン。
(あ、輪っか…除けとくか)
パチン。
(あ、カタツムリの形…これは持って帰ろう)
パチン。
感動は薄れて職人モードです。
荷詰めには真っ直ぐなきゅうりが1番。
最初の頃にあった、
変なきゅうりを見た時の初々しい気持ちはもうありません。
でもたまに、
好みの形の変なきゅうりを見つけると、
クスッと笑って
こっそり収穫したきゅうりのコンテナに忍ばせます。
「娘でしょーこの変なきゅうり採ってきたのー!」
ふふ。
一緒に荷詰めしていた母に当たりました。
「可愛いでしょ?」
「可愛くない!いりません!」
そんなイタズラを、たまにします。
どんな形のきゅうりも
切って食べれば美味しいです。
形がおかしいだけ。




