宇宙人が2人
「あそこのみなみのはうすにいって〜はいってみぎのところに〜こっくがあるから〜それをにしからふたぁつあけて〜ひとつははんぶんにして〜ぼたんがあるでしょ〜?さいごにぼたんをおして〜」
宇宙人だ。
宇宙人がいる。
何を言っているのか
さっぱりわからない。
南のハウス?
神社のところのハウスか?
入って右にコック?
コックとはなんぞや?
二つ開けて一つ半分?
西から?西ってどっちだっけ?
ボタン?
なんのボタン???
待って待ってこれなんの話?
何言ってるの???
「わかりますか〜?」
真剣に聞いていた娘に
説明を終えた父は伝わったか確認をしてくる。
「ぜーんぜん、わからない」
正直に言った。
「分からない〜?!」と父の目が見開くが
本当に分からなかったから、仕方ない。
「はいはいはいはい。
水かけるんでしょ?お母さんがしますわね!」
母から助け舟が出ました。
きゅうりの苗に
水をあげて欲しかったようです。
娘は
きゅうりにお水をかける音は
聞いたことはありますが、
お水をかけるシステムは知りません。
それを
あの説明で
娘が実行できると
なぜ思う??
「お父さんの宇宙語よ!まだ分からないでしょう〜」
ケラケラ笑いながらハウスへ向かう母。
なるほど。
母には宇宙語が理解できているのか。
娘にはまだ難しいです。
別の日。
「今日は下のハウスの葉を摘んで。西の列から」
いつものように父が言います。
娘の次の仕事ですね。
葉を摘むようです。
「分かった。西ね。…お日様が背中に当たる列を摘むの?」
「うん〜?何を言っている?西の方から摘んだらいいのよ」
「うん。西はあっちでしょ?それで、葉っぱを摘む列は、お日様が背中に当たる方?それともお日様が眩しい方??」
「はぁ〜?どういう事〜?」
「だーかーらーーー!」
娘の言葉に父が大混乱を起こしています。
実は、娘は東西南北に弱いんです。
少し考えないと西がどっちなのかわかりません。
そして
西が分かったあとは
きゅうり列の右側の葉を摘むのか
左側の葉を摘むのか分からないのです。
だからお日様の光を背中に受けながら葉を摘むのか
お日様の光を顔に受けながら葉を摘むのか
そう聞いているのに
父に全く伝わりません!
「合ってる合ってる。お日様が背中の方で合ってるよ!」
母からまた助け舟が出ました。
よしよし。
お日様が背中の当たる方ね。
帽子を被って、鋏を持って
ハウスへ入ります。
そこでふと思ったことがあります。
もしかして
父にとっては私が宇宙語を話している?
じゃあ…
母は…通訳さん?
娘も父も
自分の言葉でしか説明できないし
理解できません。
母は毎日…
宇宙人2人の相手をしてくれていたのかもしれません。




