──*──*──*── 領地
──*──*──*── 平地
平地に魔法陣が出現した。
セロフィートとエミルリアンの目の前には、立派に育っている御神樹が生えていた。
御神樹には人が取り込まれた様な部分があった。
領主夫人だ。
傍から見ると領主夫人が御神樹に取り込まれ、同化した様に見えるかも知れないが、セロフィートに渡されて飲んでいた雑草茶の所為で領主夫人自身が御神樹に変化してしまったのだ。
領地の平地には草──雑草が生えていた。
セロフィート
「 どうやら雑草は此からですか。
未だ御神樹の根が大地に馴染みきってない様ですね 」
エミルリアン
「 …………此が……奥様……いや……こんな……こんな…………いやぁぁぁあああああッッッ!!!! 」
エミルリアンは御神樹に姿を変えられてしまった領主夫人の根元に座り込み、大声を上げて泣き崩れている。
無理もないだろう。
恩人だった領主夫人の変わり果ててしまった姿を目の前にして、平常心を保てる程、エミルリアンの心は強靭ではなかった。
涙が枯れる迄泣き続けたエミルリアンは泣き疲れてしまったのだろう。
根元にすがる様な体勢で眠りに就いていた。
セロフィート
「 おやおや…。
眠ってしまいましたか。
丁度良いです。
エミルリアンさんの記憶は改竄しときましょう。
恐ろしい体験をした記憶だけ残せば良いでしょうし 」
セロフィートは古代魔法の中にある忘却魔法を発動させた。
エミルリアンの記憶を改竄する為、エミルリアンの心を壊す為、セロフィートはエミルリアンが体験しなかった恐ろしい記憶を忘れさせた記憶の上に書き足した。
セロフィート
「 平地が雑草の生い茂る平原になるには暫く時間が掛かりますか。
平原になる迄は結界の解除はしないでおきましょう 」
眠っているエミルリアンをお姫様抱っこしたセロフィートは転移魔法を発動させた。
平地に魔法陣が現れ、淡い光を放つとセロフィートの姿を消した。