だから花園の手入れに関する一切を庭師達に一任してるんだとか。
「 花園を潰せ 」って言われないだけ有り難いよな。
庭師達にとって、花園は想入れの強い場所みたいだから。
無事に領主邸へ到着した翌日に庭師のジルじぃちゃんと知り合って、花園を見せてもらった。
花園を見たセロが、何を思ったのか分からないけど、頻繁に花園に行っては読書に耽っている。
何時もは室内でしか読書三昧してなかったセロが、今や花園を独占して優雅に読書三昧してるんだ。
花園に居るんだから読書に集中してないで花を愛でろってんだ!!
だけど、セロが花園の中に立ってるだけで、まるで花園だけが別世界になってる様に見えてしまうから不思議だ。
空気が違うって言うか、咲いてる花達も、此から咲こうとしている蕾達も妙に生き生きとしてる様に感じちゃうんだよなぁ。
萎れて元気のなかった花が凛々と元気になってたり、枯れかけだった葉っぱが瑞々しく青々と生き返ったり、有り得ない事が実際に目の前で起きたのを見てるから、セロが何かしてるのかも知れない。
セロは《 創造主の館 》で多種多様な毒草や毒花を育ててるから、植物に詳しいのかも知れない。
此の花園にはセロが欲しがる様な毒草や毒花なんて植えられてないと思うんだけど…。
混ざって植えられてたら怖いけどな…。
でも、庭師達が並々ならない愛情を惜しみ無く込めて頻繁に手入れしてる訳だし、丹精込められてる自慢の花園なんだ。
物騒な植物なんて生えていないと思いたい。
そうそう、此の花園でセロが変わった趣味を持ってる事を知ったんだよな。
引き抜いた雑草を収集する趣味だ。
雑草なんかを集めてどうするのかオレには皆目検討も付かないけど、場所や近くに生えてる雑草が違うと稀に変化する雑草があるらしい。
雑草の事を嬉しそうに語られても、雑草に興味のないオレにはさっぱりなんだけど…。
其でも雑草トークを熱弁するセロを見ていると、「 あぁ…今日の世界は平和なんだなぁ… 」って沁々と思えてしまって、妙にホッコリするんだよな。
世界は全然平和じゃないんだけども…。
セロの趣味が雑草収集だって知ってから、オレは視界に入った雑草を手当たり次第に引き抜いては、セロに持って行ったりもした。
だけど、セロは既に手元にある雑草には興味無いみたいで、雑草に対する熱意はそんなに無いんじゃないかって思っていた。
実際には雑草だけを集めて、雑草だけを育てている雑草の為だけの専用庭園が《 創造主の館 》にあるみたいだから、並々ならない熱意を持ってるのかも知れない。
庭園迄作ったりして、雑草を育てたりして、一体全体何をしようとしてるんだか。
雑草を悪用する為に使う危なくてヤバい実験とかじゃないよな??
其処等辺は怖くて聞けなかった。
実際に雑草庭園がどんな感じなのかも見てないしな…。
ま、まぁ…セロの雑草話は此ぐらいにしとこうかな?
花園に向かってるんだから、花の話をしないとな!
とは言え、マーフィが自宅に見よう見真似で作った “ なんちゃって花壇 ” に植えた花の苗に水やりをしたり、草取りをしてたぐらいだから、花に対する知識なんてないんだけどな〜〜。
マーフィも「 咲いたら分かるんじゃないか? はははっ! 」って感じで花に興味があったとは思えないし……。
紅茶に詳しいラオインダなら花にも詳しいかも知れない。
お手製のブーケを作って紅茶葉店に飾っていたからだ。