♥ 領主邸 10 / 花園
──*──*──*── 花園
慣れない一輪車を押して歩くゼルの歩調に合わせて、花園に到着した。
今日も花園で咲き誇っている花達は元気で綺麗だ。
毎朝、セロが花園で詩歌を歌っているからかな?
セロの歌声は植物を活性化させる効力でもあるのか?
金にもならない花の為に態々詩歌を歌うなんて事をする吟遊詩人なんてのは、セロぐらいじゃないかな?
財力のある吟遊詩人もセロだけだと思うけど!
ジルじぃちゃんがゼルとオレを待っていた。
マオ
「 ジルじぃちゃん、お待たせ!
貝殻持って来たよ。
貝殻は、どうしたらいいんだ? 」
ジルジット
「 マオちゃま!
待ってましたぞ。
貝殻は砕いて粉末にしてくだされ 」
マオ
「 若しかして、肥料に使うのか? 」
ジルジット
「 其の為の貝殻ですからな 」
マオ
「 何処で砕けばいいんだ? 」
ジルジット
「 其処の穴を使ってくだされ 」
マオ
「 いいよ。
シートと杵はある? 」
ジルジット
「 農具庫にある筈じゃよ 」
マオ
「 分かったよ。
ゼル、シートと杵を農具庫へ取りに行くぞ 」
ゼリンネル
「 えぇっ?!
また農具庫に行くのかい? 」
マオ
「 道具がなきゃ貝殻を砕けないだろ。
砕いた貝殻を粉末にする道具もある筈だ。
粉末にする道具の下に敷くシートも必要だし、粉末を入れる為のバケツも必要だな。
行くぞ、ゼル 」
ゼリンネル
「 分かったよ 」
ゼルは溜め息を吐いて嫌そうな顔をしてオレを見るけど、オレはゼルに笑顔を向けた。
マオ
「 歩きながら、さっきの続きを話すよ 」
ゼリンネル
「 いいのかい?
是非聞かせてほしい 」
マオ
「 じゃあ、農具庫に行こう 」
ゼリンネル
「 うん! 」
オレは〈 皇 〉の話を餌にして、農具庫へ道具を取りに行く為、ゼルと花園を出た。




