♥ 領主邸 27 / 室内 1 / 覗きも立派な犯罪です 1
──*──*──*── 室内
どうやら此の部屋は使われていない部屋みたいだ。
使われていない部屋の中で一体何をしてるんだろう??
オレは1歩ずつ足音を出さない様に慎重に部屋の奥へ進む。
セロフィート
「 マオ、泥棒みたいです。
普通に入って大丈夫ですよ 」
マオ
「 …………雰囲気って大事だろ! 」
セロフィート
「 はて?
雰囲気…です?
マオは泥棒の雰囲気を感じたかったです? 」
マオ
「 違うよっ! 」
何とか誤魔化してみたけど、普通に入って良いなら、部屋に入る前に教えてほしかった!!
セロフィート
「 ──マオ、見てください。
侍女さんです 」
マオ
「 侍女?
何で侍女が夜間に使われていない部屋に居るんだ? 」
セロフィート
「 部屋の掃除をしている様には見えませんね。
誰がどう見ても、引き出しの中を漁っている様にしか見えません 」
マオ
「 何かを探してるのかな? 」
セロフィート
「 物色中なのではないです? 」
マオ
「 物色ぅ〜?
使われていない部屋で何を物色するんだよ? 」
セロフィート
「 お金に変えられそうな品物ではないです?
此処は裕福な領主邸ですよ。
金目になる品物ならば幾らでもあります 」
マオ
「 自分の働き先で金目の物を物色してるのかよ?
…………此って犯罪だよな?? 」
セロフィート
「 窃盗も泥棒も立派な犯罪です 」
マオ
「 …………侍女が勤め先で窃盗…… 」
セロフィート
「 侍女には良くある事です。
支払われるお給料とは別に自分用にお小遣いが欲しいのかも知れません 」
マオ
「 小遣い稼ぎの為に泥棒してるってのかよ? 」
セロフィート
「 さぁ?
侍女さんに聞けば窃盗を繰り返す理由も分かるのではないです? 」
マオ
「 繰り返してる??
常習犯って事か? 」
セロフィート
「 手慣れてますし。
常習犯で間違いないと思いますけど? 」
マオ
「 ………………。
セロ…此って、どうしたらいいんだ?
侍女が窃盗の常習犯で、使われていない部屋に忍び込んで、夜な夜な金目の物を物色してる泥棒なんです──って領主に教えた方が良いのかな? 」
セロフィート
「 領主に告げ口したいならすれば良いです 」
マオ
「 告げ口って……。
オレが悪い事をするみたいな言い方するなよ! 」
セロフィート
「 領主が知れば、此の侍女は其なりの処罰や制裁を受ける事になるでしょう。
別に良いのではないです?
自業自得ですし 」
マオ
「 …………だけど… 」
セロフィート
「 態々マオが領主へ知らせなくとも、彼女は自分で自分の首を締める事になります 」
マオ
「 どういう事だよ? 」
セロフィート
「 マオとワタシだけでなく、〈 久遠実成 〉も彼女の悪事を見ておられます。
此処は敢えて見過ごし、〈 久遠実成 〉にお任せするのも一興です 」
マオ
「 見なかった事にして、知らん顔してろ──って言うのか? 」
セロフィート
「 そうです。
人間の与える処罰,制裁よりも〈 久遠実成 〉の罪に対する戒めの方が厳しいものになります。
反省せず、窃盗を繰り返していると大事な命を取り上げられてしまうかも知れませんね。
自分の命なら自業自得で済みますけど、大切な誰かの命かも知れません。
命ではなくて、大事な身体の何処かかも知れません。
ふふふ…。
彼女は窃盗という悪事の代償に一体何を〈 久遠実成 〉から取り上げられるのでしょうね 」
マオ
「 …………楽しそうだな… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
楽しいですよ。
彼女の末路は新しい詩歌の参考になるでしょうし 」
マオ
「 …………もう、行こう。
領主に教えたって証拠が無いから信じてもらえないだろうしさ… 」
セロフィート
「 おや、彼女の悪事を見逃します? 」




