♥ 領主邸 21 / 部屋 5 / 新しい人生 2
マオ
「 えっ……そんな事しても大丈夫なのかよ? 」
セロフィート
「 5名の王子達の不可解な死の真相を知ってしまったゼルさんが命の危険を感じ、セセンテレン城を去った──という事にすれば、捜索隊を出される事もないかも知れません。
ゼルさんに構うどころではなくなるでしょうし 」
マオ
「 ゼルの為に其処迄……。
良かったな、ゼル!! 」
ゼリンネル
「 う、うん……。
で、でも…セロッタさんは5名の王子の死亡について何処で知ったんですか?
表向きは病や事故死にされている筈です 」
セロフィート
「 ワタシは吟遊大詩人です。
噂から事件の真相へ辿り着けてしまうのは吟遊詩人ならば良くある事です 」
ゼリンネル
「 えぇっ?!
良くある事なんですか?!
吟遊詩人って凄いんですね!! 」
マオ
「( ……そんな訳ないだろ…… )」
セロフィート
「 吟遊詩人が探偵と違うのは、事件の真相,犯人,動機が判明しても推理をせず、事件を解決させないところです。
面白い実話を詩歌にして、自分のレパートリーを増やします 」
マオ
「 …………。
セロ…【 実話を詩歌のレパートリーにしてる 】なんて…オレ、初めて知ったんですけど? 」
セロフィート
「 教えてませんし。
勿論、書物の夢物語も詩歌にしますけど、リアリティーのある実話の方が人気があります。
今回は5作の詩歌がレパートリーに加わりました♪ 」
マオ
「 ──セロ!
ゼルの前で不謹慎だろ!
ゼルにとっては母親違いの兄弟なんだぞ 」
セロフィート
「 マオ…、吟遊詩人は不謹慎でナンボの職種です。
図々しくないと吟遊詩人は出来ません 」
マオ
「 もうっ、開き直るなよ! 」
ゼリンネル
「 …………セロッタさん、僕…… “ 吟遊詩人探偵 ” になりたいです!! 」
マオ
「 …………は??
ゼ…ゼル、何を言い出すんだよ??
“ 吟遊詩人探偵 ” って── 」
ゼリンネル
「 ……うん。
普段は吟遊詩人として旅はするんだけど、滞在中は吟遊詩人をしながら、探偵としても事件を解決させる手伝いをしたいと思うんだ。
事件を解決出来たら詩歌にしてストックしとけば、何時でも歌えると思うんだ。
ストックしただけ、リアリティーのある詩歌のレパートリーも増えるし。
どうかな? 」
マオ
「 いや…どう、って…… 」
セロフィート
「 本業は吟遊詩人で、副業に探偵ですか。
中々面白い発想ですね。
“ 探偵ごっこ ” ではなく、実際に “ 吟遊詩人探偵 ” をしますか……。
良いのではないです? 」
マオ
「 おい、セロ! 」
セロフィート
「 誰でもないゼルさん本人が決めた事です。
本人に其の気さえあれば、誰にでもなれるものです。
ワタシはゼルさんを応援しますし、後見人として巣立つゼルさんの後押しもしましょう 」
ゼリンネル
「 セロッタさん、有り難う御座います!
僕、 “ 吟遊詩人探偵 ” として新しい人生を頑張ります!! 」
マオ
「( え〜〜……そういう展開になっちゃうのかよ… )」
セロフィート
「 ゼルさんが “ 吟遊詩人探偵 ” として活動するにはワトソン的な立場の助っ人が必要になります。
ワタシが用意しましょう。
マーリン似の戦闘用〈 器人形 〉にしましょう。
ゼルさんが吟遊詩人なら、マーリンは踊り子の姿にしましょう。
注目される事、間違いなしです 」
ゼリンネル
「 有り難う御座います!
マーリン似の〈 器人形 〉……嬉しいです!! 」
マオ
「 はぁっ?!
一寸待てよ!
何で、マーリン似の〈 器人形 〉なんだよ!!
他のでも良いだろ!! 」
セロフィート
「 折角マーリン似の〈 器人形 〉を用意したのです。
使わないのは勿体無いでしょう 」




