♥ 領主邸 20 / 部屋 4 / 新しい人生 1
マオ
「 吟遊詩人見習い??
其ってゼルが人前で詩歌を歌ったり、語り弾きしたりするのか? 」
ゼリンネル
「 えぇっ?!
人前で歌うんですか?!
僕が…人前で……歌を…(////)」
セロフィート
「 ふふふ。
表向きの職業に決まってます。
ゼルさんの本職は勿論、王子です。
吟遊詩人を装い、見聞を広める為に旅をしている──とでも証言すれば怪しまれはしません。
ワタシは数多の吟遊詩人の憧れの的、正真正銘の吟遊大詩人です。
マオはワタシが護衛に雇っている守護衛士です。
仮にゼルさんの正体がバレてしまったとしても、王子のゼルさんが身分を隠して旅をする為に、守護衛士のマオと吟遊大詩人のワタシに旅のお供を依頼した──とでも言えば良いです 」
マオ
「 有り得る設定だな。
王子がお城を抜け出して、御忍びで城下町を散策するなんて何処にでもある話だもんな 」
ゼリンネル
「 そうなの?
セセンテレン城では考えられない事だよ 」
セロフィート
「 セセンテレン城の警備は厳しいですからね。
抜け出すのは容易ではない筈です。
専属騎士,専属執事,専属侍女の上司は国王です。
王子,王女の監視役ですから、行動の全てを包み隠さず国王へ報告されている筈です 」
マオ
「 えっ?!
そうなのか??
専属騎士,専属執事,専属侍女も味方じゃないのかよ? 」
セロフィート
「 味方役を演じている監視役です。
親身になってくれている,心配してくれている,唯一無二の味方だと思っても所詮は演技です。
自分に忠実な専属騎士,専属執事,専属侍女だと思い、心を許したり、油断してはいけません 」
ゼリンネル
「 …………全然知りませんでした…。
専属騎士,専属執事,専属侍女達が父上のスパイだったなんて…… 」
セロフィート
「 専属を付けられてなくて良かったですね、ゼルさん 」
マオ
「 本当だな… 」
ゼリンネル
「 父上に感謝しないと…ですね… 」
マオ
「 領主邸を出たら、セセンテレン城に戻るのか? 」
セロフィート
「 ワタシ達は戻りません。
セセンテレン城へは、ゼルさん,マオ,ワタシと瓜二つの〈 器人形 〉を向かわせます 」
マオ
「 〈 器人形 〉を? 」
セロフィート
「 〈 器人形 〉には数日間セセンテレン城に滞在してもらった後、セセンテレン城を出てもらいます 」
マオ
「 ゼルの〈 器人形 〉はどうするんだ? 」
セロフィート
「 マオとワタシの〈 器人形 〉がセセンテレン城を発って数日後に回収します 」
マオ
「 回収するのは良いけどさ、ゼルが居なくなったら大騒ぎするんじゃ…… 」
セロフィート
「 『 見聞を広げる為に、旅立ちます 』とでも書き置きを残しときます?
ゼルさん、どうします 」
ゼリンネル
「 えっ…。
そう、ですね…。
書き置きを残したら捜索隊を出されたりしないですか? 」
セロフィート
「 国王次第でしょう 」
マオ
「 ならさ、命を狙われていて身の危険を感じている事も書き置きに加えたらいいんじゃないか?
そしたら国王も察してくれるんじゃないのか? 」
ゼリンネル
「 ……そうだといいけど… 」
セロフィート
「 ゼルさん、セセンテレン城では今迄に5名の王子が亡くなっていましたね 」
ゼリンネル
「 はい。
確かに5名の王子が亡くなってます 」
セロフィート
「 5名の王子を殺害した首謀者,王子殺害に関与した者,殺害した動機を書き綴った資料を同封して、国王の枕元にでも置いときましょう 」




