ゴブリン村殲滅戦
◆◆◆ゴブリン村殲滅戦◆◆◆
「将太さんはかなり強力なユニークスキルを持っておられることからして、高い召喚で呼ばれたんじゃありませんか?他にもユニークスキルを持ってたりしません?」
「そうそう!あの神ったらケチだから2番目に安い5万のやつなのよ?!ネネなんて巻き込まれ召喚だし。」
「え?一番安い3000DPらしいですよ?」
巻き込まれた勇者ってめっちゃ強くなるんじゃ?今のうちに恩を売りまくっておいた方がいいか?ま、俺にそんなコミュ力があるわけないか。
「うそ?!あんた運がいいわね。ハズレ召喚でこの強さって。」
「ハズレ召喚って…。」
「この世界は勇者が多いから統計まで取って本を出している人がいるのよ。そいつも勇者だったりするみたいだけど。なんでハズレ召喚って呼ばれてるんだっけ?」
「高い召喚はボーナスが付くんです。必ず強力なユニークスキルを持っていたり、もともと能力の高い人間が呼ばれたり、いい家に生まれたり。でもハズレ召喚は逆です。若返りは無し。重要な職についてない人が選ばれ、もらえるスキルは1つだけでユニークスキルですらなかったりする、転移だから親はいないし戸籍すらない。スタート地点が魔物の出る地域で即詰みの可能性あり。そして、そんな安い召喚を使うくらいだから召喚した神様にも何かしら問題が…ある場合もあります。」
おっと、トリアテ様は素晴らしい神様です!
「心配するでないわ。わしはまだ20歳。これから稼ぐところなのじゃ。」
「ええ、トリアテ様は立派な女神さまです。」
「え?女神なの?いつも女神さまと話しているの?!もしかしてのじゃロリ神?!」
「そ、そうだけど?」
「なんというテンプレ!アンタ主人公補正ついているんじゃないの?こーんな美少女を連れて!」
「俺の霧って攻撃力皆無で初級水魔法で出した霧とほとんど見分けがつかないハズレ扱いだったんだけど…。」
「不遇職で異世界最強!ってやつ?どう見ても主人公ライフ満喫しているじゃない!」
「俺が倒した敵で一番強いのって寝込みを襲われてギリギリ撃退できたオークなんだけど…。」
「オークに襲われたんですか!!大丈夫だったんですか!!」
ネネリムさん、その嬉しそうな顔を辞めましょう…。
「トリアテ様が起こしてくれたから事なきを得たんです…。この話はやめましょう。」
「なんてことを…!!」
「はいはーい。まだ、ミレイさんを鑑定できないみたいだし、ゴブリン討伐の続き、行っちゃいましょう!」
「あ、はい。そうですね。」
「シミュレーションを使えば…フフッ。」
不安だ…。それと、非戦闘員云々はうやむやになってしまったようだ。
「もしかしたら、囚われている人とかいるかもしれないけど、麻痺なら大丈夫だろうし、やっちゃうよ。」
「結局直接見に行かなければいけないのね。こんな駅から5分みたいなところに住みつかれても困るから見過ごすわけにもいかないけど、衛兵が何とかしてくれたらなぁ。」
「しかたないよ。みんな出払ってて、門番も1人しかいなかったし。」
「どうせ交代が奥で寝てるんでしょ?そいつがやればいいのよ!」
「Lv0だから無理でしょう…。」
どうやら、門番すら戦争に駆り出されているようだ。
「そこまでするなら戦車野郎に頼んだほうがマシな気がするんだけど。」
「めんどくさい事情があるのよ。」
「あの人はここの領主の四男なんです。彼が活躍しすぎると、彼を領主にしないといけなくなっちゃうから周りも必死なんです。当人は今の地位で満足しているみたいなんですけどね。」
「そうかな?なんか野心があってもおかしくない雰囲気だったけど?」
「彼の今の立場は筆頭魔法使いなんだけど、血族なうえに能力もあるから有事以外は何もしなくてもいいのよ。でも筆頭だから高給取り。つまり」
「異世界行ってもネオニートかよ…。」
ネオニートが領主になったらやばそうだな…。いや、本当のネオニートは優秀な人が多いらしいけど。
「銃とかの武装は貸し出しているけど、相手にも勇者が何人かいるみたいだから多分無駄ね。初戦は負けてるし。」
「本人が出ても勝てないんじゃ?」
「彼の武器を使って魔物を倒すと彼にも経験値が入るわ。領地周辺の魔物の討伐隊は彼の武器を使っているから、相当Lvが高いんじゃないかしら?他にも、貸し出したくない強すぎる兵器くらいもってるんでしょ。」
「経験値すらネオニートなのか…。でも、やばくなったらあいつに頼むんだよね?なんで住人はあんなに暗い顔をしてたんだ?」
「彼が参戦するまでに亡くなった人は帰ってこないわ。」
「あ、そうか…。」
「話が脱線したわね。もう覚悟はできたし、敵も全部麻痺させたんでしょ?行くわよ!」
「そうだね、行こうか。」
―ミレイは元気そうだ
敵は麻痺して動けないとはいえ、全員の強化を続けるわけにはいかない。俺も鑑定結果が気になるから、マロニカを識別して強化しておこう。弱い者いじめをするようで気が向かないが、生存を懸けた戦いなのだ。こんな近くに集落を作るのが悪い。遠くに作ればこんなことにはならなかっただろうに…?
「な、なんで?なんで人間みたいな顔をしているんだ?」
さっきまで倒していたゴブリンはいかにもゴブリンですって顔をしていた。でも、これは。
「こいつらの親は、人間だったのね…。」
「私、母親を探してきます。」
「…知ってたのか?」
さっきのアレはまた茶番だったのか?
「知らなかったわ。でも、ゴブリンは人間の女性をさらって子どもを産ませることがあるのは知っているでしょう?子供が親に似ていても、どこもおかしくないわ。」
「なんでそんなに落ち着いていられるんだ?!これは本当に魔物なのか?!半分とはいえ人間じゃないのか?!」
「落ち着いてなんかないわよ!!…ううん、アンタよりはずっと落ち着いてる。これは魔物なの。鑑定したから間違いないわ。こうやって顔だけ似せて動揺を誘う、らしいわよ。アンタは、この世界の名前を女神さまから聞いた?」
「チュートリアって、言ってた。」
「そう、チュートリア。こうやって、知りたくもない基本まで強制的に教えてくれる、とてもタチの悪い世界よ。こういう罠がたくさん隠されているらしいわ。隣の領地との戦争の原因もそれよ。どうしても、この世界が嫌なら、なんとかして1億稼いで元の世界への転移を願えって、勇者が出した本に書いてあったわ。」
「その本にゴブリンの事も載っていたんじゃないか?」
「載ってなかったかもしれないし、読み飛ばしたかもしれないわ。でも、考えれば分かったことよ。それに、私は覚悟を決めていたわ。アンタに言われてね。アンタは、覚悟できていなかったみたいだけど。」
「そう、だな。ごめん…。」
―ミレイは遠くでゴブリンを倒している
「見つかった、けど、もう亡くなったわ。」
「そう、じゃぁ、将太!こんな所、まとめてバーンとやっちゃいなさい!できるんでしょ?」
「ああ、そうだね…。じゃぁ、いったん離れようか。ミレイっ行くよ!」
―ミレイが駆け寄ってきた。
俺はこの後、毒霧で集落周辺を消し飛ばした。
「ぬしよ。こんなところに呼び出して、嫌な思いをさせてしまったのう。」
「いいんですよ。被害にあった人がいるとわかっただけで取り乱した俺が悪いんです。むしろ、呼んでくださったおかげで今後の被害を減らすことができました。」
「今もどこかで被害にあう女性がいたとしてもかや?」
「誰も被害にあっていないかもしれません。少なくとも、城壁の中に住んでいる人は大丈夫ですよ。」
「ここの領地にも城壁はある。ここより強いらしい領地にもきっと城壁があるのじゃ。それでも被害者が出るのは何故じゃと思う?さっき解放された資料に答えが書いてあったのじゃ。この世界では、定期的にそういう運命にあるものが生まれ、何故かうかつな行動をとることになり、誰かが防がなければ必ずそういった状況に陥ってしまうのじゃ。」
「運命、ですか…。みんなが助け合えればいいんだけどな。」
100DPを消費、ゴブリンに捕まる運命を持って生まれるシステムの廃止にかかるDPを教えてください。
【1京DPです。】
はは、本当にシステムなんだな。
「DPを稼ぐ一番いい方法ってなんですか?」
【勇者を殺せば1億DPもらえ、さらに所持DPが2倍になります。】
国から分捕るくらいしか思いつかないし、多分大国を1個潰さないと足りないんだろうな。って、え?DP払ってないのに反応した?
「聞いてしまったのじゃな。そうじゃ。たった30人くらいの勇者を殺せば、この世界の法則を捻じ曲げることができるのじゃ。主に、元居た世界に行く最も簡単な方法として使われておるようじゃがな。」
「それでも帰りたい人はいますよ。俺だって、悪さをする悪党や敵兵なら、殺すかもしれない。それがたまたま勇者だったからといって見逃すわけにもいかないでしょう?」
「それなら、いいんじゃが…。」
「いいんですよ。俺は元の世界には不満がありました。この世界に来れたおかげで、トリアテ様や、ミレイに、双子のお嬢ちゃん達と仲良くなれました。気に入らないことがあれば、DPさえ払えば解決できるし、そのDPを稼ぐのも不可能ではない。だから、いいんです。」
「ちょっと!私凄い事思いついたわ!ミレイなら枝に私たちを乗せて運べるんじゃないかしら!」
遠くからマロニカちゃんの声が聞こえた。だいぶ離れてしまっていたようだ。
「ミレイは乗り物じゃないぞー!」
アニメで人を乗せて飛べそうな動物がいるのにこう言って断っていた奴の気持ちがやっとわかった。そいつだって苦労して移動しているんだから、自分だけ楽しようとするなって意味だったんだな。
「って、ミレイ。なんだ?乗せてくれるのか?」
―ミレイに持ち上げられた。
「ちょっとー!私を乗せなさいよー!」
―ミレイは別の枝を伸ばしてネネリムだけ持ち上げた。
「なんで私じゃないのよー!あ、まちなさーい!」
「お姉ちゃん、おいてくよー?」
「私も混ぜなさいよー!」
「はは、ミレイ足早いな。手加減してやれよ?」
―ミレイは楽しそうだ。
~ハーフゴブリンに人権を~
ハーフゴブリンは魔物とされています。ですが、これはきっと何かの間違いです!
半分は、私たちと同じ人の血が流れているんです!間違いなく、人間の親がいるんです!
意思の疎通には成功していないし、魔物の血が流れているから狂暴かもしれません。でも!
いつか会話を交わすことができるかもしれない!
いつか助け合う日が来るかもしれない!
あなたの知っている人とそっくりの顔をしているかもしれない!
産まれてきた子供たちに罪はないんです!運悪く魔物の血が混ざっただけなんです!
どうか、少しだけでもいいから、考え直してみてもらえませんか?
匿名希望




