彼女たちの休息
サユを悩ませていた期末テストも終わり、明日から夏休みに入る。
つまり、今日通知表をもらったのだけれど、サユよりも、ユイの方が成績におびえていたように思う。
まあ、サユの両親があまり、そういった成績に頓着しない人で、逆にユイの両親は気にする人というだけなのだけれど。
わたしの成績は、いつも通り体育が良くなく、歴史が少し低い位で、例年通り。
午前で解散になるので、ユイとサユと適当なお店で昼食をとりつつ、夏休みの話をしていた。
この日に家族旅行があるから遊べないとか、大雑把にそういった話をしておく。
あらかた予定が決まり、話がひと段落したところで、サユが「休みと言えば」とわたしを注視した。
「旧世界って休んでいる暇ってあったの?」
「また、サユは変なこと聞いて。レンも無理に答えなくていいからね」
「それくらいだったら、全然答えるよ」
話しにくい事でもないし、知りたいという姿勢は、素直に嬉しい。
「決まった休みって言うのはなかったけど、大天使を倒してから、次の天使の襲来が来るまでは、休みみたいなものだったよ。
長い時には、半年くらい時間があったから、その間に装備を整えつつ、訓練しつつ、監視もしつつだったから、半年間ずっと休みってわけじゃなかったけどね」
「そう言えば、なんで地球がそんなに襲われていたの?」
娯楽が今ほどあったわけじゃないから、サユがこの間にたくさん本を読んでいた、って話をしようかと思ったけれど、サユの疑問ももっともだと思うので、後日話すことにして、答える。
「大天使の中で一番強い存在が神になるって話はしたと思うんだけど、強くなるには星のエネルギーみたいなのを吸収しないといけないんだって。
で、エネルギーの量は、星の生命の活動期間とか成熟度で決まるらしいんだけど、地球はとある事情で、妙にエネルギーを蓄えていたんだよ。
それこそ、大天使が吸収したら、一気に神の座に近づけるほどに。それに、タイムリミットも迫っていたから、焦っていたんじゃないかな」
「だから、弱いやつから順番になってたのね。弱いからこそ、焦って先を越されないように」
ユイがこういった話に入ってくるのは珍しいけれど、考え自体は間違えていないので、頷いて返す。
サユだけに話したことを、ドヤ顔で説明されたのだろう。一度対抗意識がついたユイをどうにかするには、ソラでも難しい。
「弱いって言っても、本来は勝てるはずがないような相手なんだけどね。
アウィスも今ある兵器すべて使って、追い返すのが精いっぱいだと思うよ」
「そんなの良く倒せたね」
「唯一の対抗策として、大天使の体の一部で作られた武器があったからね。
1回しか使えなかったし、大天使の中でもっとも弱い、アウィスしか倒せなかったとは思うけど」
当時はそんなものがあるなんて、なんて幸運だったのだろうと思ったけれど、今にしてみれば良くそんな楽天的でいられたのだろうと思わなくもない。
それだけ、目の前の事に精いっぱいだったという事だろう。




