表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/48

第三十九話:霧澤美咲

 霧澤美咲、かつてTEAMに所属していた義臣達の幼なじみ。その彼女は確かに存在していて、死んでいった……



 柔らかな陽光がとても心地好いと思った。そして、その光がよく似合う声の持ち主が自分をその世界へと誘ってくれる。


「美咲ちゃん、美咲ちゃん」

「……夢乃」


 眠り眼を擦りながら美咲は意識を現実に向けていく。そこには赤ん坊を抱いた穏やかな美女がいた。


「おはよう、珍しいね、美咲ちゃんがお昼寝してるなんて」


 夢乃はふんわり笑う。風通しのよい篠原邸の裏庭は絶好の昼寝スポットだ。


「たまにはね。それより、また快君大きくなったんじゃない? ついこの前までヨチヨチ歩きしてたのに」

「そうなのよ、どうも発育が早いみたいね。この前も風野博士に検査してもらったんだけど、普通の子よりIQレベルも高いみたい。細胞操作の実験を私達夫婦でやりたいと言われた時には驚いたけど、こんなに健やかに育ってくれたならいうこと無いな」

「確かにね、どこの子も皆元気ならなにより」


 美咲は少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。彼女にも一人女の子がいる。しかし、その子は今、美咲の傍から離されているのだ。その話は追々語られることになる。


「美咲ちゃん、大丈夫。すぐに会えるよ」


 夢乃が言うならそうなんだろうと美咲はそう思える。彼女は綺麗に笑った。


「美咲」

「龍一」


 美咲は当時、影の総隊長の任についていた瀬野龍一が現れたと同時に凜とした表情を浮かべた。


「義臣からの召集命令だ。すぐに出るぞ」

「分かった」


 美咲は瞬時にその場所から消える。その直後風野博士は現れた。


「夢乃君」

「風野博士、あの二人が呼び出されるなんてただ事ではないようですね」


 美咲はTEAMの中でもかなりの使い手だ。彼女と龍一が組まなければならないほどの任務となれば危険を伴うもの。


「ああ、二人には申し訳ないが、私の細胞バンクに接触してくる不届きものを懲らしめてもらうことになった。組織の名は『ブラッド』、氷堂が作り上げた無法者集団だ」


 それを聞いて夢乃は飛び出そうとしたが、風野博士はそれを止めた。


「医療兵が今回の前線に出てはならない。色鳥透士が不在の中で君が負傷してもらっては困る」

「だけど……!!」

「私がここに来たのは彼等と戦うため。大丈夫、科学の面においてはTEAM一番ではあるからね」


 それだけ言い残して風野博士は消えていった。



 そして社長室にTEAMの三小隊が集められていた。


「およそのことは聞いてるな。ブラッドに風野博士が掃除屋界のために作り上げた研究品の数々のデータが流出する事態が起こった。悪用される危険性が高いものもある。そうなる前に奴らを始末しろ」


 いつも以上に張り詰めた空気。事態は最悪の時間へと突き進み始めた……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ