第十六話:召集命令
壁に耳あり障子に目あり。しかし、TEAMの場合は少し一般とは違う。「屋根裏にバスターあり床下に悪ガキあり」となる。
「さて、そろそろ姿を見せたらどうだ?」
義臣は笑いながら言うと、高校生バスター達は続々と姿を現した。というより、半分バレても構わないというところだったのだろう、部屋から出る気もなかったようである。
「バレバレか。社長には敵わないな」
「だよね〜、ちょっとずるいな。すぐに見つけちゃうんだもん」
白真と翡翠は相変わらず勘のいい義臣には敵わないという表情を浮かべた。
「まぁ、無理もないさ。咲だってすぐ見付かったんだろ? 俺達じゃ一発だ」
翔は冷静に分析し、それに大地も頷く。
「まぁ、お前らが来てくれて丁度良かったよ。お前達四人が今回の先発隊になってもらう。快達本隊が到着したら速やかに戦線から離脱、その後研究室の破壊に回れ」
「ちょっと待てよ。俺達はいいとしても、翡翠は治療兵だろ。先発隊に使ってもいいのか?」
白真がもっともなことを言うが、義臣は全く気にした様子もなかった。
「問題ないさ。それに聞いてただろう? 今回は俺が動く、いや正確に言えば俺のチームが動くんだ。勝算はありすぎるほどだ」
自信に満ちた顔は経験と絶対的な力から来るもの。それを相手にするものが不幸としか思えない。だが、その前に高校生だからこそ忘れてはならないことがある。
「だけどよ、お前ら期末試験の勉強してるのか?」
それを聞いた高校生達は固まった。現実は厳しいものである。
「快様〜〜〜〜!!!」
陽子を残し、高校生達は快のもとへと走り出した。
「陽子も勉強しとけよ。お前はバスターでもあるが、あいつらと同じ高校生だろ」
優しい笑顔が心の中に染み渡る。陽子は深々と頭を下げて瞬身でその場から消えた。
そして静かになった社長室で彼は未だに隠れていた人物に声を掛けた。
「ということになったから、あいつらに連絡してくれる? 夢乃さん」
社長室にある隠し扉から夢乃は出て来た。彼女の気配の消し方は高校生バスター達に分かるものではない。
「それはいいけど、みんなに連絡とるのは厳しくない? 数人はまだ任務に就かせてるのでしょう?」
かつて自分達とともに戦ったメンバーは散り散りになっている。白真と翔の父親は連絡すらまともに取れない状況だ。
「ああ、あの二人は無理だがうちの料理長と時枝警視総監殿は動けるだろ。そしてあいつもいけるさ」
「……苦労しかかけないのね。また怒られるわよ」
夢乃は深い溜息をついた。




