第十五話:戦乱の予感
香と結婚すると決まった時、哲はすごく照れた表情をして学と一緒になってからかった。しかし、二人の兄はもう息もなかった……
「掃除屋TEAM、裏切りには本当に弱いのね。私がピンチと言えば疑いもなくやってくるし、婚約すれば骨抜きにもなる。
おかげさまで二人の細胞とエネルギーはバッチリ頂いたわ。そういうことだから陽子ちゃんも死んでくれる?」
未だ理解できなかった。頭の中は混乱していた。だが、それでもバスターである性か涙はなかった。
「香、その必要はない。ボスの命令はこのお嬢ちゃんをスパイにすることだ」
「ライ、冗談は止して頂戴。細胞バンクはTEAMの細胞を欲しがってるのよ。実験体が多い方が良いに決まってるわ。特にこの子はかなり興味深いサンプルよ」
香は魔力を鋭い刃へと変える。
「そのお嬢ちゃんの力はまだ変化する。四系統のどれにも当たらないものだ。ここの所長として興味があってね」
ライは陽子を実験体として見ていた。体術・召喚・治療・自然系のどれにも当たらない陽子の特殊能力。TEAMの細胞と言うだけでも魅力的だが、その変化を記録することも研究者として逃したくはないのだ。
「だったら私にも何か頂戴。なければこの子を今すぐに殺して私の研究材料にするわ」
「だったらこれをあげる」
陽子は快と義臣の細胞サンプルを投げ渡した。
「篠原義臣の細胞なら文句ないでしょ。快の細胞だってある。私はまだ死にたくはないの。TEAMのスパイにぐらいなってあげるわ」
いくら訓練を受けて来ても、完璧過ぎるポーカーフェイスがこれほどきついものだとは思わなかった。しかし、ここで自分に残された道は一つしかない。
「本物かどうかは怪しいけど……いいわよ。確かにこれはかなりの力を持つものの細胞だし、いずれTEAMを潰すためにもしっかり利用してあげる」
香は最上級の笑みを浮かべた。
「これが三年前の裏切りです。私は生き残るため、兄達の敵を打つためにTEAMの情報を奴らに流した。社長、あなたの力と秘密も……」
「な~に、構わないさ」
義臣はまたもさらりと答えた。理由は一つ、三年前と比べて義臣の力が変化していない訳がないからだ。寧ろ三年経ってもTEAMは弱体化するどころか、さらに強力な戦力を手に入れている。
「それにスパイにされていても、お前がずっとやられっぱなしな訳がない。そして俺の能力を奴らが全て解析出来るはずもない。今回は俺も動く。奴らが何をしてこようともお前を死なせたりはしないからな」
戦乱が始まろうとしていた……




