1/18
1 プロローグ
「あああああっ」
男性が炎に包まれて絶叫していた
熱さのあまり道路を転げまわり火を消そうとしていた
しかしその願いは叶えられることはなかった
なにせガソリンを被っているのだ
そう簡単に火が消えるものではない
もっともそれは後になって警察の捜査で分かったことである
動画を撮影した時も、それが動画サイトに投稿された時も誰も知ることはなかった
ただ
『火をつけられた被害者がいた』
『火をつけられて苦しんだ』
『救急車に助けられた後、病院での治療で一命をとりとめ、重度の火傷のせいで集中治療室にいる』
ことにより、世の中の同情と犯人への怒りが世間を席巻した
余談だが、全身を炎で包まれた被害者の姿を消防車がくるまでの間、動画で撮影していた通報者も
『人が困っている時にのんきに動画を撮影していた』
との非難の集中砲火を浴びていた
火に包まれた人間に対してどうすることもできなくてパニックに陥り、つい、日ごろの癖で動画をとって友人に送っただけなのに非道い仕打ちである
とまあ、他人へ非難することを生きがいとする人間が多いこの世界ではあたりまえのことが繰り広げられたわけである
そんな人間たちに対して一握りの心ある者たちが立ち上がった
これはその物語である




