96話
正座する俺にモニカ様たちは、俺の背後に行く。
アクアは、ゆっくりと俺へと近づき見下す。
「アンタね。やりすぎなのよ。お陰で色々と可笑しくなったじゃない。勇者は、覚醒しないわ。魔王は、未だに魔王は起きてないし。」
起きてないってことは魔王は、まだ復活して無いのか。・・・起きてない?、寝てるってこと?。
「ちょ、」
「アンタがグリードを撃退したせいで瘴気が蔓延せずあの街は滅びなかった。 そのせいで絶望しなかった勇者は、覚醒することができなかった。」
そのことは、色々と終わった後に気づいて軌道修正しようとしましたよ。でもロイドと接点なさすぎて修正も出来なかったからだったら街繁栄させようと思って行動しただけですか。その間もちゃんと情報収集・・・ロイドのは、集めてなかったな。
「まったく。お陰で私は、勇者に会えなかったじゃない!! 勇者の絶望した表情が見たかったのに。どうしてくれるのよ! 私の勇者、返しなさい!」
「あの、返せませんし僕のじゃないし」
「言い訳するの? ねぇ!」
あ、こいつ、聞く耳持たないわ。
「ふっ。言いたいことはだいだい言ったからスッキリしたわ。アンタじゃー覚醒させられないだろうし仕方ないから私がなんとかしてあげる。感謝しなさい。――まぁでも魔王が起きるかもしれないけど」
なんか今、魔王が起きるとか言わんかった。気のせいですよね。そうですよね。
「今、魔王が」
「言ってないわ。ええ。言ってないわ。」
「あの。質問いいですか?」
モニカ様をスーッと手を上げた。アクアは、鋭い目つきでモニカ様を睨むが怒りを引っ込めたような優しい表情になった。
「ええ。いいわよ。桃髪の小娘。質問しなさい」
「アクア様は、ロイド君を勇者を覚醒させようとしているのは、よくわかりました。ですがどうやって勇者に覚醒させるのですか?」
「そんなの簡単よ。もっと死の淵に立たせ強い思いを爆発させて覚醒させるのよ そのために彼らには死んでもらうわ」
アクアは、目が据わっていた。
モニカ様は、怒りのままに杖先をアクアに向ける。
「貴女如きが私に勝てると思っているの? 辞めなさい。 どうしても死にたいというなら相手になるけど。」
「武器を納めてください。あの方は、精霊。しかもネームドです。勝ち目はありません。」
ネームド。個体名を持った精霊、悪魔、天使は、規格外の力を持った化物でありどいつもこいつもイカれた奴らばっかりだ。
「ですが。このままだとお兄様やシャルルが」
モニカ様は泣き崩れる。
見ていられない。
「――アクア。今すぐシリウスたちを返せ!」
立ち上がり紫電の剣先を向け殺気を抜き出しにするとアクアは、狂ったように笑う。
「面白いわね。 宝具が封じられた人間がこの私に喧嘩を売るの? 馬鹿じゃないの? 絶対にアンタじゃ勝てないわよ」
「やってみないとわからないじゃないですか!」
俺は魔力を解放してアクアの腕を斬り落とそうと振り下ろす。
水を切ったような感覚。まるで手応えない。
アクアは、3歩ほど下がる。切った腕は、一瞬にして回復していた。
「この程度か。確かに強いけど私と相性悪いみたいね」
アクアは、手のひらを俺に向けると水の弾が頬を掠めた。反応が出来ない。やはりネームドは伊達じゃない。
深く深く集中するんだ。
自然と身体からわずかに漏れていた魔力のモヤは、無くなる。
「何してるよ。 魔力無くしたら私の攻撃、まともに喰らうわよ」
「黙って頂けませんか?」
「はぁ? 何様よ?」
「そうですね、あえて言うなら『若き英雄』様ですかね?」
紫電に魔力をゆっくりと流す。ゆっくりと頭上まで振り上げ頭上で停止する。
イメージするんだ。水を斬り裂くイメージ。
一歩踏み込み力強く振り下ろす。
一瞬が空間は裂けるような不思議な感覚が紫電から伝わる。何かを察したアクアは、右側に咄嗟に避けるが左腕は、放った斬撃に斬り落とされる。
すぐに治ると思っていたアクアは、驚いていた。左腕は、回復しなかった。
「へー。やるわね。人間如きに斬られるなんて私もまだまだね。『ヒーリング』」
斬り落とした腕をつけて『ヒーリング』の魔法を発動すると腕はくっつき腕に違和感がないかグーパーを繰り返していた。
「さすがですね。 生命の母とも呼ばれる精霊だけあって治癒魔法得意ですか」
「へー。知ってて挑んだ。」
「今のでわかりました。かなり薄いですが勝ち目が見えてきましたしそれに無敵ってわけではないみたいですしね。」
「言ってくれるね 人間! いやルクス! アンタを殺すなって言われてるけど半殺しなら良いわよね?」
アクアから膨大な魔力の波動を感じる。
やばい。負けるかも。てか死ぬかもしれない。ど、どうしよう。くそ。こんな時に宝具が使えれば。




