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世界のありかた  作者: 三日坊主
第1章
10/33

9話:そして2人は出会った

やっと、出会います。今までが【序】だったような気がしてなりません。

やっと、やっと題1章的な感じですが楽しんでいただければ光栄です。

 樹は周りを見回した。どこに行くべきか悩んでいたのだ。

 着替え終わった後、家から出てきたはいいもののどこに行けばいいのだろうと。

外に、出た後村人Aが「ババ様のところには今客人が見られております。」と言っていたので、とりばぁーのところは駄目。

聞きたいことがあったのに・・・と樹は思ったが、客人(いこーる)『ごし』だと思ったので行きたいとは思わなかった。


(いや、別に着替えたから行ってもいいんだけど・・・ボロがでそうだしなぁー)


などと、ちょっと心の中で誰かに対しての言い訳をしてみる。

だが、実際にそうなるのは間違いないだろう。今までの自分を振り返ってみると悲しいながらに実例があるわけで。


「今、思い出したくない昔のことを思い出してしまったよ。これも『ごし』のせいか・・。」


最近ことあるごとに『ごし』のせいにしている樹がいた。仕方が無いのだ。

なんせ、暇だからである。絡みたいからである。まだ見ぬ『ごし』に・・。


(いや、会うことはないかもしれないけどね、ここに来ている『ごし』さんにさ。ちょっと八つ当たりしたいんだよな。)


「まぁ、とりばぁーのところには行けないとして。(『ごし』いや、客人のせいで。)

そこら辺を散歩してみるかな?なんせ、この村、村のわりには広いしな。」


樹がここの来たのはつい昨日である。たった一日しか経っていないのだ。

一日の間にいろいろあった。本当にいろいろありすぎた。普段の樹なら、もう頭がパンクしているだろう。

でも、なぜだか妙にスッキリとしていた。頭だけではない、心もである。だから、村を散歩しようと思ったのかもしれない。


「ここに来たのがつい昨日。昨日は確か、とりばぁーに天羽のことや、『ごし』のことを聞こうとしたんだっけかな?まぁ、その日は聞けなかったから今日聞きに行こうとして・・・っとアレなんだろう?」


ふと目に入ったものが気になって樹は足を止めた。それは立て札のような看板で道の隅に立ってあったからだ。

すごく気になった。気にならないわけが無い。それがなんとも奇妙な形をしていたからである。


(・・・。看板だよな?でもなんで、なんできのこの形してんだよ!!)


そう、きのこの形をした看板だった。取り合えず近づいてみる樹だが、書いてある内容を読むと脱力した。

そりゃもう、文字が読める!とかの感動をそっちのけで脱力してしまった。


「なんっじゃこりゃ~~~~~!!!!馬鹿にしてんのかよ!なぁ~にが、『この先なにもありません。残念ハズレ。』だ!

チクショー!!期待させんじゃねぇー!!だいたい、何の意味があって立ててんだよ!あぁん?しかも、残念ハズレって当たりがあるのか?

あるんだろうな?!探してやるよ!!『ごし』が帰るまでにな!!ハッハッハッハッハ!」


樹は探索を始めた。それはもうくだらない探索を。

そして樹は探し始めて数十分後に7個目の看板を見つけた。


(い、今まで見つけた看板はどれも最後には『残念ハズレ。』って書いてあったけどな、お前は違うだろ?)


「なぁ?七個目の看板さんよぉ?」


探索を始めた樹はすぐに2個目の看板を見つけた。それには『ここから先はきのこの山。残念ハズレ。』と書いてあり、「え?菓子名?」などと突っ込んでみたり。

3個目の看板はそこから少し先にある森のなかで発見。『ここは森です。迷子になるよ?残念ハズレ。』と書いてあり、「迷子はもういいよ。」と頭を抑え。

4個目の看板は森から出て右斜め前にある、ところで発見。『近いね。残念ハズレ。』とあり、「いや、何が近いんだ?看板同士の距離のことか?おもろくねー。」と看板を蹴り。

5個目の看板は蹴って壊れた看板の破片が飛んで行ったほうにあり『僕を見つけるとはやるな。残念ハズレ。』に対して「何に対してハズレなんだよ?おい。」と脱力気味に言ってみたり。

6個目の看板はとぼとぼと歩いていたら発見し。「もう、これでやめにしよー。」とか言いつつ書いてある文字を見ると。

『あと、少し!!頑張って、諦めるな!ここで諦めたら男が廃る。残念ハズレ。』と書いてあったため頑張ることにした。


「いやぁな。男じゃないけどな、あと少しなら探してやるよ。当たりをさぁ~。ここまできてくだらなかったら全部ぶっ壊そう。」


と少し切れ気味でいう樹がのそのそと道を歩いていった。

そして、見つけた7個目の看板。書いていたのは『おめでとう。さぁ見よこの景色を・・。やったね当たり。』だった。


「ここまで来たのに景色かよ!!ッチ。まぁいいや、見てやろーじゃんかその景色をさぁ~。」


そして樹は見た。そこからの景色を。

そして樹は驚いた。そこからの景色を見て。

樹は笑ってしまった。確かにここまで来たかいがあったと。


「はは。結構きれーじゃん。なんだよ・・・やるじゃねーか、きのこ看板サン。」


樹が立っていたのは下を見ればぞっとするほどの高さのある崖の上だった。

しかし、そこからの景色を見ると唖然とするほどの桜の花が山を桃色に染めていたからである。


「しっかしまぁ~、なんで気づかなかったんだ?桜が咲いてるって。今まで森はなんども見たり通ったりしたのになぁ。

桜の木がなかったからか??別にいいけどさ、こうやって見れること自体がほとんどないからな。」


樹は飽きずに山の景色を見ていた。都会の方に住んでいるのもかかわらず自然を見るのを感じるのが好きだった。

いや、都会に住んでいるからかもしれない、自然を感じる見ることで心休まる気がするのは・・。


 ふと、背中に視線を感じた。


(誰だ?刀すら持ってない私を観察する奴は。無防備なんだぞ!もし、刀を抜いていたりしたら言葉の暴力をふるってやる!!)


もし、相手が村人ではなかったらと思うと樹は冷や汗をかかずにはいられなかった。

心では強がっても、ここでは意味をなさない。

言葉の暴力とは言っても、たいした武器にもならない。それは樹にだってわかっている。

なんせ、ここは日本であって日本じゃない。しかも、江戸時代頃である。武器を普通に持っていても怪しまれない時代なのだ。


(・・・どうしたものか。でも、やるとしたら何気なく声を掛けてみるしかないかな?)


ふぅ~っとため息を付きながら樹は視線を感じる後ろへと身構えながら振り向いた。

すると、そこにいたのは小柄な少年だった。

少年は木の後ろから樹を観察、いや見ていたらしく樹と目が合うと気まずそうに下を向いた。


(まさかの少年。木のせいで容姿が良く見えないけど、きっと村の子じゃないよな。よし、声掛けてみるか。気になるし。)


樹は天羽が言っていたことを思い出しながら、男っぽく声を掛けてみることにした。


「俺に何かようか?」

「え?男だったんですか?」


(いや、女であってるけど、本当のこと言えないんじゃぁ~!!)


「ッハ。女に見えるってか?坊、目が悪いんじゃねぇの?」


(ふふ。ヤンキーな武者の出来上がり)


「ええっと、ごめんなさい。」

「いや、別にいいから出て来いよ。取って食ったりしねーし、そもそも刀すら持ってないんだぜ?怖かねーだろ。」

「え、別に怖がっていたわけじゃないんですけど・・・。」

「ああもう!だったら出て来いって!」

「は、はい!」


樹はこの少年との会話で決めたことがあった。それはとても大事なことだ。それは、第一印象のことである。

『真面目』でいくか『ヤンキーなノリ』でいくか『無口』でいくかの選択だ。しかし、今の会話のでいで決めるも何も決まってしまったのだが。


(『真面目』でいきたかったのになぁ~。っとと出てきたか。ってえーーーうそ~)


樹は驚いた。心底驚いた。世の中はなんて不公平なのだろうと思ったほどだ。

出てきた少年は、13・4歳ぐらいでどうみても女の子にしか見えない、なんとも可愛らしい顔立ちをしており、また髪は結いでおらずショートだった。

一番驚いたことは瞳の色だろうか。紅かったのだ。赤いではない、紅かいだった。


「あ、あの・・。」


樹があまりにも凝視をしていたせいだろうか、少年はおろおろとしていた。


「あ、すまない。瞳が紅いのを初めて見たものだから・・。」

「え、そうなんですか?上忍護師の方には金の瞳を持たれた方がしらっしゃいますが。」

「『じょうにんごし』だと?」

「はい、そうですけど・・。どうかしましたか?」

「それはなんなんだ一体。」

「は?何なのだというのはどういう意味でしょう?」

「そのまんまだ。どういう仕事?をするやつらなんだ。」

「えええ!知らないの?じゃなくて知らないんですか?」

「ああ、知らん。それは知らないといけない事なのか?」

「・・・たいていの人は知っていると思うのですが・・。」

「そうか、だったら教えてはくれないか?俺は・・・。」

「おれは?」

「記憶喪失なんだ。」

「・・・えええええええええ!!」


(なんて苦しい言い訳。でも、仕方なかろう!!だいたいの奴が知っているのに知らないなんておかしいじゃん!それにほかに思いつかなかったし。)


「そ、そうなんですか。ええっと、それは難儀(なんぎ)ですね。」

「いや、そうでもない。名前を覚えているからな。」

「・・名前。そういえば自己紹介がまだでした。僕の名は奏石 小葉です。仕事は護子をしています。」


(ふ、フレンドリーだな、おい。ってか、こいつが『ごし』だったのかよ!どんなやつでもなれるわけ??)


「俺の名前は、佐乃助(さのすけ)だ。仕事はやっていない。」


(おおっと、私よまた勝手に嘘をつくではない。だいたい誰だよ!佐乃助って。)


「さのすけさんっというのですか。」

「ああ、そうだ。さん付けはよしてくれよ。似合わんからな。」

「え。ですが年上の方には敬意を払わなくてはならないので・・。」

「敬意っていっても、どう考えても逆だろ?俺の方が仕事してねぇし、しかもお前のほうがすごそうな仕事してるみたいだしな。『ごし』って偉いんだろ?普通より。」

「っう。そうですけど、僕はまだまだです。」

「とにかくだ、俺に敬意を払う必要はない。」

「う~。」


(少年諦めろ。そんな可愛らしい顔で涙目になっても(ゆず)れん。私は友達がほしいんじゃぁーー!)


心の中で樹は本音をだしてみた。ここに来て特別親しいやつはまだいない。


(天羽は・・・あれは違うだろう。友達じゃない、知り合いだ。

とりばぁーは、あの方はこの村の母だ。つまり私にとっても母にあたるような気がする。

あ、天羽はだったらペットだ。ペットで上等。まだ、正体がわたらないからな。)


「だったら、敬語をまずやめてみろ。敬意を払わなくていいんだから必要ないだろ?」

「え・・・。無理、無理です!!」

「いーや。無理じゃない、さっき使ってなかったろうが!」


(そう、さっき会話で使わなかった場所がある!!私は覚えているぞ!!少年よ。)


「うぅ。」

「わかったわかった。じゃぁ、こうしよう。俺は友達がほしいんだ。だからお前が俺の友達になってくれ。

なんせ、記憶なくしてから友達がいたかどうかすらわからないなかなぁ。それに、友達なら敬意や敬語の必要はないはずだ。」

「・・・友達ですか?」

「嫌か?」


(ここで嫌って言われたら私、泣くわ。恥じる思いで友達になってくださいっていてんじゃぁー!YESと言え!!)


「い、いやじゃないです。」


ここでちょっとっほとする樹がいたが、コノハは気づかなかったらしい。


「そうか、なら敬語はなしだ。敬意も払うな。わかったな?」

「はい!じゃなくて、うん。さのすけの漢字でどう書くの?」

「ああ、こうだ。」


樹は地面に落ちてある木の棒で【佐 乃 助】と書いた。

コノハもそれに習って、【小 葉】と書いた。


「へぇ。それがお前の名前か?」

「うん、佐乃助はそう書くんだね。」

「あぁ。よし、コーと呼ばせてもらおう。」

「え。」


(なんだ、なんだよ!その顔は!!ネーミングセンスなさすぎっていいたそうな顔をするな!!)


「なんだ、嫌か?」

「うん。」


(おい、コラ!即答すんな!!凹むぞゴラァ!!)


「む。だったら何がいい。」

「普通に呼んでよ。コノハって。」

「むむむ。面白みが無い。」

「面白くなくていいよ。」

「世の中が面白いほうが楽しいだろ?」

「関係ないと思う。」


(ど、どこまでも否定するなぁ。コノちゃんよぉ。あ、コノちゃんにしよ~。)


「仕方が無い。コノちゃんにしてやるよ。」

「もっと嫌だよ。なんだよコノちゃんって!!女じゃあるまいし、僕は男だ!!」

「だったらぁ~」

「コノくんも嫌だからね!!」

「ッチ。」


(まったく、我がままに育ったものだ。いったい誰が育てたんだ!!出て来い育て親!!)


「舌打ちしても、ダメ!」

「わかった、コノハと呼ばせてもらうよ。」

「うん!!あ、変わりに僕が佐乃助のことサノって呼ぶから!」


(なんだ、その言い方は。これで文句無いだろう?ってな顔をするな!!かっわいくねぇー)


あーだこーだと言い合っているなかで樹は、いやサノは目の端で天羽の姿を捉えた。

天羽は、なにやらジェスチャーで必死にサノに伝えていた。


(いや、わかんねーから。)


「?サノ?どうかしたの??」

「うん?別にどうもしてないけど・・・いや、ちょっと天羽が呼んでいるみたいだから行ってくるよ。」

「え、うん。わかった。」


コノハは少し面白くなさそうな顔をしながらサノがどこかへ行くのを見送った。


「んで、なんだよ?」

「わからなかったんですかぇ?わっちの見事な動き。」

「・・・いや、わかんねぇから。あ、私ねぇ、佐乃助って名前になっちゃったからぁ。あと、記憶喪失ってことに。」

「はぁー。なんでまたぁ、よくお似合いである名前を・・。それに、元から記憶喪失だろうに。」

「待て。お似合いって、これは男の名だよ?あと、私は元から記憶喪失じゃない。」

「んだぁ?樹はいや、佐乃助は男だろうに。記憶喪失は・・・そういうことにしてやろうかの。」

「さっそく呼んでるし。しかも、なんかムカつく。」

「あたぼぅよ!んなことより、とりばぁーのところに行かんでよかとかいなぁ。」

「行かないといけないんだけどさ、コノハ置いていけないんだって。」

「コノハ・・・。あぁ、護子の方ですかい。そういえば仲がとてもよろしかっただに。」

「あぁまぁ~なんてーの。友達になったから。あ、そうだ。あの動き何を伝えたかったんだよ?」

「ふぇふぇふぇ。」


妙な笑い声とともに天羽はにやりと笑った。


「『まだ、手をお出しになるのはいけませぬ。その者はまだ少年なり。もしや、少年好きですか?』という意味ですけん。」

「ははぁ~なるほど。ってんなわけあるかぁーー!!!ざけんなよ!天羽・・・羽をむしられたいか?」

「ふのーーー!!いやですけん。やめてけれやめてけれ。」

「妙な叫び声のほうを止めろ!」

「佐乃助殿、コノハ殿が何やら心配そうにこちらを見ていらっしゃいますぞ!かまってほしそうに・・。」

「・・・。(コイツ話そらしやがった。)天羽、お前変な噂流すなよ!!いいな!!!」


サノがそういって天羽から離れてコノハの方へ行ってしまうと、天羽は飛び跳ねながらルンルンと村の方へと帰っていった。

天羽は知らせるつもりだった。村の皆に・・。


『樹は佐乃助となり、恋人となる者とこの村に帰ってくるため無礼のないように』っと___



●○●○●○●○●○●○●


「あもうって誰?」


コノハはサノが行ってしまった方をずっと見ていた。

『あもう』という名前がでてなぜかコノハは心の中がッムっとしていた。

どうしてなのかがコノハには分からず考えれば考えるだけッムっとする気がしたので考えないようにしていたのだが。


ギャー ギャー

ふぉ ふぉ ふぉ


と楽しそうな声がサノと『あもう』が行ってしまったほうから聞こえたので、ちょっと声のするほうへ近づいてみた。

すると、本当に楽しそうな2人をコノハは見つけてしまった。


「なんだよ・・・友達いるじゃん。」


ぶーっと膨れるコノハに『あもう』のほうが気づいた。

そして、何かをサノに言った。サノは慌ててコノハのいるほうに顔を向けると微笑んだ。

そのサノの顔を見ると何故か顔が熱くなる自分がいることに驚いた。


(ぼ、僕ってまさか・・・。ううん、そんなはずないよね?違う違う。絶対に違うもん。)


コノハは自分がサノに恋をしてしまったんじゃないかと慌てた。

もし、そうだったら大変なことになる。まず、サノは男だ。最初は女の人かと思ったけど男だと言って怒られてしまったのだ。

それに、一座のみんなから呆れられるかもしれない。まさか、男を好きになっているとしられたら・・・。


(って、まだ好きになったわけじゃないんだから、落ち着こうよ僕・・。)


ふぅーっとため息をついて、こっちへ向かってくるサノを見ていた。



 この村の審査を無事終え、ようやく入れて『とりばぁー』に会いに行こうとしたコノハは髪を一つに束ねた男か女か分からないような人が村の奥へ行くのを気づいたら目で追っていた。

ッハっと我に返って、取り合えず『とりばぁー』に草十郎からの頼まれごとを片付けることにした。

『とりばぁー』のいる(やしろ)に着くと、思っていた以上に大きくて驚いてしまった。

戸を叩き、「日下部(くさかべ) 草十郎殿より預かったモノを届けに参りました。」と言うと中から「お入り。」としゃがれた声が聞こえた。

コノハが戸を開け中に入ると、そこにいたのは巫女の姿をした老婆だった。


「突然押しかけてしまい申し訳ありません。」

「気になさるな。どうせあの大馬鹿もんがぁ~日付の過ぎた書を弟子である、そなたに頼んだのであろう?」

「え、あ、はい。申し訳ありません。」

「よいよい。ちゃぁんと届けてくれたのだからな。」

「・・・・。」

「して、そなた。」

「はい。」

「何ができよう?」

「・・・舞と笛が吹けます。」

「ふむ。では、来週ある収穫祭(しゅうかくさい)に演奏してくれんかね?」

「はい!!喜んで!!」

「ふむ。では、頼んだぞぇ。床はこちらで用意させるからのぅ、気楽に村を回ると良い。」


たった、数分しか『とりばぁー』と話さなかったような気がしてコノハにはならなかった。しかし、時はそれ以上に過ぎていたようだった。

もっと、言わなければならないとこがあった気がした。でも、何も言葉がでなかった。

いや、言えなかったのだ。『とりばぁー』のもつ魔力に対して気を保つのがやっとだったのだ。


(僕もまだまだだなぁ~。もっと修行しなくちゃ・・・。)


そう思いながらコノハは、あの男か女かわからない人が歩いていったほうへと足を向けた。

気になっていたのだ、何故か。


「こっちに行ったんだよね?・・・・・あ、いた。」


サノが数十分かけてたどり着いた場所にコノハ着いた。これを、サノが知ったら逆切れしていただろう。

コノハはじっと見ていた。いや、見とれていた。


(・・・・。すごい。すごく綺麗(きれい)な髪をしてる。母さんに負けないくらいすごく綺麗。)


そうして見とれていると、クルリとその人が振り返った。

向こうからはこちらの容姿が見えないのだろう、どこか少し怪しまれているような気がした。

ふと、目が合った。

その瞳がすごく澄んでいたため()らさずにはいられなかった。


(あの、瞳はきっとモノを斬ったことがないんだ。僕と違ってすごく・・・白いんだ。)


陰と関わり、陰を斬れば人はすぐに黒く染まる。

今、この時代に白いままの人がいることにコノハはすごく驚いていた。


「俺に何かようか?」


そう、問われたときは驚いた。


(俺・・・。男なの?)


「え?男だったんですか?」


心に思っていたことがついつい口に出して言っていたらしい。しまったと思っていると、男は目を細めた。

怒っているらしい。


「ッハ。女に見えるってか?坊、目が悪いんじゃねぇの?」


そう言われたとき少しカチンとしてしまった。


(僕は、坊じゃない!むーでも、こっちが悪いんだしなぁ~)


そう思いコノハは、取り合えず謝った。


それから、まさかこんなにも、この記憶喪失であるサノと名乗った男と話をするのが楽しいとは思わなかった。

もっと、話がしたい。知りたいと言っていた、上忍護師や自分の護子のことを教えてあげたい。

とのかく、一緒にいたいと思ってしまうようになっていた。

そのことに関してコノハは驚いていた。

今まで、そう思ったことがあるのは一度だけだったからだ。

そのときはコノハはもっと幼いときだったが・・・。



 「どーかしたか?コノハ。」

「え、なんでもないよ?」

「そうか、ならいいんだが。っと、今から村に帰るんだがもちもん、コノハも行くよな?」

「う、うん。」

「じゃぁ、帰るか!」

「うん。」


ぼーっとこの村に来てサノに会うまでのことを思い出していたらいつの前にかサノが目の前にいた。

そして、コノハに帰ろうと手を差し出していたのだ。

コノハは驚いた。


(もしかして、サノって天然なのかも!!普通手なんて(つな)がないよ!!まぁ・・いいけどね。)


コノハは自分の口元(くちもと)(ゆる)むのを感じながら、サノの手を取った。



 そして、2人は仲良く村のほうへと向かった。

 まさか、天羽のせいでとんでもないことが言い振られているとは知らずに。



何やら、変わりすぎている気がしますが・・・気のせいでしょう。

ええきっと。きっと気のせいのはず・・・。




途中で、樹がサノに変わって書かれています。

サノ=(イコール)樹ですのでそこのところよろしくお願いします。



ああ、そうだくれぐれもお間違いのないように・・・。

サノ(樹)は女です!!女なんです!!!


ちょっと言葉遣いが荒いだけなんです!!

乙女チックなところもあります。

むしろ、出します。(コノハにばれない程度に。)


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