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ド田舎出身の美少女、世界最高の料理人を目指す!  作者: ゆきはら
はじまりの村 ノストヴァイン
9/24

はじめてのお料理修行

 エリスがノストヴァインの村に着いて、七日が過ぎた。少しずつこの村の生活に慣れてきたエリスはいろいろなことに気がついていた。

 イェンスは毎朝魚と一緒にやってくること、その魚がこの村で穫れるメインの食材であること。エリスのいた村と同じでじゃがいもと一緒にご飯を食べる時と、パンというものと一緒に食べる時があること。ベリーを使ったソースがよく料理に出てくること。何より、ドグラスの料理が絶品で、村の人たちがみんなドグラスの料理が大好きだということ。エリスもおいしいドグラスの料理を食べるのを楽しみに店の手伝いを頑張っている。

 四日目の朝。もう慣れたぞ、とエリスは今日も美食亭のテーブルをピカピカに磨き上げて、昨日の洗い残しの皿を洗って拭いて、どうだ! とモップを構えたままのアンネに自慢した。


「だいぶ手際がよくなったね。そろそろいいんじゃないかドグラス」

「ああ。エリス、こっちへ」


 ドグラスに招かれて、エリスは店の厨房に入った。なんだろう、と思って見ると、調理台の上にはじゃがいもが山積みになっていた。


「皮むきと、切るのを今日はエリスにやってもらう。俺もやるが」

「い、いいんですか?」

「ああ。皿洗いと皮剥きは、修行の基本だ」


 ドグラスと比べればまだまだ倍以上の時間がかかるエリスに食材を任せてくれる、ということがどれだけのことなのか、エリスにはよくわかった。料理人として修行させてもらえているということが今更ながらに実感できて、飛び上がって喜びたくなったけれど、もう少ししたらイェンスが来てしまう。真面目な顔を作ってエリスは一番近くのじゃがいもに手を伸ばした。

 包丁の刃をじゃがいもに当てて、皮を引っ張るようにしてじゃがいもを回す。包丁を押すのではなく、じゃがいもを回して刃を滑らせていく。ところどころにある芽は刃元で抉り取って、また残った皮を剥いていく。どうしてもなかなかうまくいかずに唸っているエリスに、ドグラスはさりげなく手元を見せてくれていた。真似をしながらどうにかこうにかやっていくうちに、少しずつ慣れてくる。ぱっと顔を上げると、最初の方に剥いたじゃがいもが随分小さくなってしまっているのがよくわかった。一つ、また一つと集中してやっているうちにあっという間に時間は過ぎていき、イェンスがいつものように豪快に扉を開けた。


「おはようエリス! 調子は……おお、キッチンにいる!」

「今日からは仕込みの手伝いもさせることになったのさ」

「よかったなあ! じゃ、早速その仕込んだじゃがいもで一つ頼むよ」


 エリスはどうしたものかとドグラスの方を見た。こんな不格好なじゃがいもをお客さんに出していいのだろうか……そんな不安を吹き飛ばすように、ドグラスはもうエリスの剥いた不格好なじゃがいもを調理し始めていた。元々小さくなってしまっていたものを半分に切って、鍋に入れてぐつぐつと煮て、それから柔らかくなったじゃがいもを潰して、粉を混ぜて、平くしてからオーブンの中に入れていた。その間に今日のメインのスープの仕込みもしている。エリスが大量に剥いたじゃがいもがあっという間に立派な料理になっていくのを、エリスは魔法でも見るような目でうっとりと見つめていた。


「おいしそう……」

「今日はエリスが手伝ってくれたから、じゃがいもの料理が増やせる」

「ドグラスのじゃがいも料理は美味いからなあ。あー、酒と食べたい」

「うちは未成年に出す酒は持ち合わせてないよ」

「ちょっとだから! うそうそ、流石に冗談」


 アンネに怒られるイェンスに、エリスは笑顔になって気がついた。ここまで集中しすぎて肩に力が入りっぱなしだった上に。


「おなかすいたぁ」

「はは、エリスも一緒に食えよ。賄い、まだなんだろ?」


 思い出した途端にぐうぐう腹が鳴る。アンネにも促されてカウンターに座ったエリスは、今日も「おいしい!」と叫んでめいっぱい料理を楽しんでから店の仕事に精を出したのだった。

投稿が遅くなりました。すみません。次回はいよいよ初の休暇の話になります!

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