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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
ラディンとフルータの戦場 4
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ラディンとフルータの戦場22

  19部 置き土産


「全員、無事で撤退できたか?」

 サーファスは自分の使うテントに到着してから自分を囲む軍の幹部たちに向けてそう言った。

 全員が落ち合うポイントンに着き、自分がこれから使う司令部のテントの様子を確認した。ラディンはそのサーファスの声に応えた。

「全二百八十四名、整列しております!」

 サーファスに向けて、そう言うラディン。

 サーファスがテントの幕を上げて、外に出ると、整列をしたグラセランドの兵達がいた。隊長のサーファスの姿を見ると、全員で同時に敬礼をする。

「皆ご苦労だった。だが、これで終わりではない。すぐさま、戦闘の準備に取り掛かれ!」

 サーファスがそう言うと、全員が作業に取り掛かった。

 木材はすでに用意をされている。柵をテントの周りに作り、申し訳程度の見晴らし台を立てる。

 まるで、前から準備をしていたかのように兵達が動いていた。

「一体どうしたんだ……?」

 特に、指示を出したわけでもないのだが、兵達は先に決められていたように動く。サーファスは、その、統制のとれた動きを見て唖然としていた。

「私が指揮をとり、事前に役割分担を決めておきました!」

 ラディンは言う。

 サーファスが様子を見ると、次々にテントが建てられ、柵が作られていく。

「よく統率が取れている……」

 舌を巻いて、そう言ったサーファス。

 サーファスは戦術を考えるのは得意であるが、こういった雑務の指揮は苦手としていた。その、苦手な事を、ラディンが指揮をとって兵達を動かしているのだ。

「本当に……君にサリルをあずけたいくらいだよ……」

 ラディンに向けてそう言うサーファス。

 ラディンは、何を思ったか? 顔をニコリとさせて、サーファスの事を見返した。


 フルータも厨房の用意をしていた。レイティとサリルを合わせた三人で、新しいかまどの用意を始める。

 レイティが、薪に火をくべてみると、釜の中に水を入れた。そして、次々に調理器具を入れていく。料理に使われる前に調理器具を熱湯で殺菌しているのだ。

「お玉とかも用意しなおさなきゃ」

「そうだな……これ一個じゃ足りないからな」

 そう言い、フルータは『レイティ用』と書かれたおたまを、壁に掛けた。

「ちょっと待った! なんでそんなものを持ってきているのよ!」

 フルータは、レイティを叩く用に用意をされたおたまを、持ってきていた。

「これは貴重品だよ。君が暴走を始めた時、無かったら困るじゃないか……」

「全然困らないと思うよ……そもそも、私の暴走は、ほとんどフルータが原因じゃないの……」

 レイティが、フルータの事を、非難がましく見て言う。フルータは、涼しい顔をしながら、言った。

「だからこそ、自分で解決をするという責任がありましてね」

 そう言うフルータは、次の仕事に取り掛かる。

「この仕事が終わったら、お楽しみが待っているから、張り切っていこうか」

「どうせ、またくだらない事なんでしょう?」

 レイティが呆れた顔で言うが、フルータはニヤリと笑いながら言った。

「最高に面白いことだよ。クセになっちゃうかも」

「あなたの趣味には、ついて行きかねます……」

 サリルもフルータの事を非難がましく見ながら言う。

「本当に嫌味な奴……」

 レイティが言うとサリルもそれに合わせて言い出した。

「そうですね。嫌味な方ですフルータさんは……」

 フルータは、その言葉を聞いても反省の色など見えなかった。

「こういうのも、楽しめるようにならないといけないよ」

 そう言うフルータに、レイティとサリルは白い目を向けていた。

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