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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
アディラの戦い 3
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アディラの戦い 13

 アディラが、そのテントの中に入ってきた。幹部の一人が、アディラに向けて声をあげる。

「君! 今は会議中だ……」

「いや、いい。続けてくれ」

 その言葉を制した隊長。アディラの言う事は大体分かっている。

「敵の炊事兵を暗殺するのです……」

 アディラの言った言葉に、ほかの幹部たちは懐疑的な顔をした「炊事兵? そんな奴を一人倒したところで何になるんだ?」「敵の隊長なら分かるが……」なととの声が上がる。

「くだんの、下剤入りシチューの件は、その炊事兵の仕業です。彼は、無視できないくらいに強い力を持っています」

 あれは、ラダヴィッツ軍の士気を削ぐ事を考えての行動だ。

「だが、実害はないだろう?」

「士気が落ちる事は、戦争にとって恐ろしい事の一つです!」

 アディラは言う。そこに外から声が聞こえてきた。

「騒がしいな……アディラは外に行って様子を見てきてくれ……」

 隊長が言う。『やはり、自分の考えは理解をされないか……』と思いつつも、アディラは外に出ていく。

 外に出ると、紙が空から落ちてきていた。

 まるで雨のように大量の紙が落ち地面に散乱している。

「これは……新聞?」

 新聞によく使われる安い紙だ。中身を見ると、アディラは怒りに打ち震えた。

「これが、あいつのやり方か!」

 すぐに新聞を持ち帰り、会議の中に入っていく。

「完全にやられました! これを見てください!」

 そう言い、会議をしている最中の机に叩きつけた。

「これは……『腐った物を食べて、トイレに並ぶ軍隊』だと?」

 隊長が言う。

 新聞の一面には、情けなくも、腹を押さえながら簡易トイレに並ぶ、ラダヴィッツ軍の兵士達の姿の写真が、載せられていた。

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