アディラの戦い 13
アディラが、そのテントの中に入ってきた。幹部の一人が、アディラに向けて声をあげる。
「君! 今は会議中だ……」
「いや、いい。続けてくれ」
その言葉を制した隊長。アディラの言う事は大体分かっている。
「敵の炊事兵を暗殺するのです……」
アディラの言った言葉に、ほかの幹部たちは懐疑的な顔をした「炊事兵? そんな奴を一人倒したところで何になるんだ?」「敵の隊長なら分かるが……」なととの声が上がる。
「くだんの、下剤入りシチューの件は、その炊事兵の仕業です。彼は、無視できないくらいに強い力を持っています」
あれは、ラダヴィッツ軍の士気を削ぐ事を考えての行動だ。
「だが、実害はないだろう?」
「士気が落ちる事は、戦争にとって恐ろしい事の一つです!」
アディラは言う。そこに外から声が聞こえてきた。
「騒がしいな……アディラは外に行って様子を見てきてくれ……」
隊長が言う。『やはり、自分の考えは理解をされないか……』と思いつつも、アディラは外に出ていく。
外に出ると、紙が空から落ちてきていた。
まるで雨のように大量の紙が落ち地面に散乱している。
「これは……新聞?」
新聞によく使われる安い紙だ。中身を見ると、アディラは怒りに打ち震えた。
「これが、あいつのやり方か!」
すぐに新聞を持ち帰り、会議の中に入っていく。
「完全にやられました! これを見てください!」
そう言い、会議をしている最中の机に叩きつけた。
「これは……『腐った物を食べて、トイレに並ぶ軍隊』だと?」
隊長が言う。
新聞の一面には、情けなくも、腹を押さえながら簡易トイレに並ぶ、ラダヴィッツ軍の兵士達の姿の写真が、載せられていた。




