アディラの戦い 12
アディラがそこまで言ったところで、テントの中から爆発音が鳴った。
アディラとファラリスは、一緒になってテントの方を見た。
中で何かが爆発したようで、今は黒焦げになって、ボロボロになり、無残な姿になった、テントがあった。
それから、次々に爆発音が鳴った。
ドォン! ドォン! ドォン!
次々にテントが爆発を始めた。
「あの玉だ……」
アディラは、今日の昼間の事を思い出した。
天井からぶら下がっていたヒスイのような石で作られていた玉だ。あれは爆弾だったのだ。この爆発は、あの玉が爆発したものだったのだ。
「全員テントから出ろ! ぶら下げられている玉が爆発をするぞ!」
アディラはそう叫ぶ。いくらか、テントの中から這い出してきた兵士がいるが、その数は微々たるものだ。
「全員、テントから出ろ! 全員、テントから出ろ!」
ファラリスは、必死になって、大声でほかの兵士たちに声をかける。
この時間である。もう睡眠を取っている者ばかりであろう。声をかけただけで、眠りから目覚める事ができない者も多いだろう。
次々に爆発をするテントを眺めながら、アディラとファラリスの二人は、懸命に声をかけ続けた。
次の日の朝、この隊の幹部たちが司令部のテントに集まって作戦会議を始めた。
「兵士は、進軍をし始めた時と比べて、五割が減っています。通常の軍隊なら、三割減れば、『壊滅』と判断されます」
すでに、この隊は壊滅をしている。そう言って、隊長の事を睨んだ幹部の一人。
自分の事を刺すような視線で見る彼に合わせて、この場にいる幹部たちは、そろって、刺すような視線を送ってきた。
「このような強行軍を行う理由は何なのか! 自身の保身しか考えていないのならば、いずれ誰かが、行動を起こしますぞ!」
隊長はそれを聞いて顔を伏せた。
誰かが隊長の背中を撃つ事を暗に言った幹部の人間に、何も返す事はできなかった。
「戦場における、死因の二割は、部下に殺されたものだからな」
震えた声で言う隊長。
もう、撤退をするしかない状況。だが、撤退はできない。自分とファラリスが、投獄される事になるからだ。
「それについて、一つ提案があります!」




