ラディンとフルータの戦場 17
それから、長いあいだにらみ合いを続いた。
隊長からの攻撃を待つフルータに、うかつに飛び込む事のできない隊長。フルータはジリジリと距離を詰めるが、隊長はその分下がる。
『誘われてるな……』
そう考えるフルータ。『若い人間は、こらえ性が無いから、自分から突っ込んでくるだろう』とでも考えているのだろう。
『それなら……』
そう考え、フルータは言った。
「これで終わりにしませんか? いつまでもにらめっこをしていても、しょうがないでしょう?」
盾を下ろさずに言うフルータ。
隊長は、この挑発に乗った。
「いまさらやめられるか!」
そう言い、憤怒をした隊長が、剣を振りあげて来た。それを、外野から見ていたラディンが言う。
「あいつ……ああやって敵を挑発するのは、本当に得意だな……」
自分も、あいつの言葉に振り回された。剣の才能で言えば、当然ラディンの方が上であるのに、ああやって挑発をしてくる。あいつの言葉はとにかく癇に障る。わざと、相手の琴線に触れる言葉を狙って言ってくる。
この勝負、決まった。
ラディンがそう考えると、その通りになった。
サーファスの剣はフルータの盾を貫いた。だが、フルータの剣の先は、隊長の首元を捉えていた。
「ま……まいった……」
そう言い、倒れる隊長。横になりながら隊長は肩で息をしている。
「私も衰えたな……いや、君が強かったのか……?」
サーファスは言う。だが、フルータは首を横に振った。
「ボクの口の悪さのおかげで勝てたんです。実力は、隊長の方が上でした」
「あの挑発に乗ってしまったのがいけなかったな、確かに……」
さっきまでの形相が嘘みたいに、穏やかな顔をした隊長。
「認めるしかないようだな……君は強い……」
そう言う隊長。フルータは、その場に腰を下ろした。
「サリルは、純粋で世間知らずなところがある。サリルの事は、私がよくわかっている。あの子と上手くいかないことがあったら、私に言ってくれ」
隊長が言う。だがフルータは喉から言葉がでかかった。
『隊長……あなたは自分の娘さんの事をよくわかっていませんよ……』
あの腹黒いサリルが純粋で世間知らずだと……? フルータは、サリルの顔を思い出しながら、その場に寝転んだ。




