ラディンとフルータの戦場 18
「敵襲が近いと思う?」
サーファスは、フルータから聞いた言葉を反芻した。
「はい……実は敵の偵察と接触をしまして……」
「偵察が来ていたのか……注意をしないといけないな……」
サーファスが言う。偵察が来ていたという事は、敵が動く可能性がある。そう考えたサーファスは顎に手を当てて考え出した。
「どうやら、敵は物資が不足をしているみたいです。敵の補給も少ないようで……」
「どうしてそれを知ったんだ?」
「その偵察から聞き出したんですよ」
それが本当ならば、随分口の軽い偵察だ。嘘かもしれないと、思うサーファスだが、補給が足りないことは、サ-ファスだって知っていた
「確かに、報告によれば、敵の補給物資はどんどんと減っている……」
敵の駐屯地には、物資が無い。だから、自分たちの駐屯地を襲って物資を手に入れるしかないのだ。
「それに、本国に逃げ帰れば、敗戦の責任を負って司令官は投獄をされる。相手が撤退をしていくという、甘い考えは、抱かないようにする方がいい」
サーファスは言う。
「うちの偵察の報告では、敵の兵士は、奴隷よりも酷い生活をしているようだ」
兵達の疲労は、ピークに達しているだろう。それでも、敵は攻勢に仕掛けていくしかない。必ずどこかで攻撃を仕掛けてくる。
フルータは思う。敵は、時間が経てば経つほど弱っていく事になるのだから……
「それなら、できるだけ早く動きたいだろうね。今、攻め込んできてもおかしくない」
「その通りだ、周囲の監視を強化して、偵察の数も増やして敵に動きがあれば、すぐに分かるようにしてある」
サーファスは言った。
『やはり、前線の隊長になるだけあるか……』と、考えたフルータは、すぐに言う。
「ボクらの考えつくような事は、すでに隊長が考えた後のようですね。さしでがましい事をしました」
フルータがお辞儀をしながらそう言うと、サーファスは手を前に出した。
「私だって人の意見は欲しい。私も万能ではないからね」
さしでがましいなどとは考えず、意見があるならどんどん言って欲しい。
そう言うサーファス。フルータは、それを言われ、お辞儀をしながらサーファスを見上げた。
『この人はやっぱ、やりにくい人だな……』
ここは、自慢をしてもいいところであるが、サーファスは、さらに意見が欲しいと言う。
よくいる自己顕示欲の塊のような、頭がカチカチの人間とは違う。こういう人には、ゴマすりなどは逆効果だ。
『やっぱり、目に見えた戦果を上げないとならないか……』
だからこそ、こういうタイプは、仕事にシビアである。目に見えるような活躍をしないと、評価をしてもらえない。
そうなれば、フルータにとってはやりにくい限りだ。料理を作るだけでの仕事で、どう、目に見える戦果を上げねばならないのだろうか?
『これはラディン向けだな……』
剣の腕は一流で、頭も切れるラディンにとっては、やり易い事だろう。そう思って、ラディンの事を見上げたフルータ。
ラディンは、難しそうな顔をしていた。ラディンは、どういう作戦をとればいいか? を、考えていたのだ。
「戦うか? それとも逃げるか? ですね」
ラディンはそう言う。フルータには、その意見は何も考えていない発言と思っていたが、サーファスは、それに頷いた。




