ラディンとフルータの戦場 16
「そして、君の顔を一度見ておきたかったんだ。フルータ君」
そう言い、ラディンの前からフルータの前に歩いて行った。
「うちの娘が君にぞっこんなんだそうだね? うちの娘に何かしたのか?」
「私は何も……」
こんな話をするために呼ばれたのか……フルータは、身を縮こませた。
「まあ、君をここに呼んだ理由は、他でもない」
サーファスは、壁にかけられている剣を取った。
「好きな武器を使え。君の力を見させてもらう……」
サーファスの言葉を聞き、フルータはたじろいだ。
『こういう事だったのか……』初対面から、サリルがいきなり自分にベタベタしてきた理由はこれだったのだ。
厨房の中で、戦闘の訓練をしている人間なんて、フルータくらいしかいない。
娘に近づく男には、父親が黙っていないという、典型的なパターンになる事をわかっていたのだ。
『これは戦うしかなさそうだ……』
そう考え、フルータは近くから小さなナイフと大盾を取った。
「ファランクスか……そんな昔の武装で大丈夫か?」
小さなナイフは逆手に持ち、盾から片目を出して、サーファス隊長の事を見る。
「この戦い方しかしらないもので」
フルータはラディンの剣の稽古に、何度も付き合わされてきた。ラディンの鋭く早い武器に対抗をするには、この武装が一番適していたのだ。
盾を、前に突き出したフルータ。それを見て笑った隊長。
「そんな戦い方しかできないのか?」
そう言い隊長は、剣を下段に構えた。
『見える、この盾を貫こうをしている……』
盾は、何でもガードをするような万能のものではない。剣でおもいっきっり突かれたら貫通をする。
『盾を剣で貫いて、叩き飛ばすつもりか……』
そう考えたフルータは盾をあえて前に出した。
隊長が剣を持って突っ込んでくる。それをよんでいたフルータは隊長の剣が盾を貫く前に、突きを流した。
それを見て、隊長は顔を引き締めた。
盾は、敵の攻撃を受け止めるためのものではなく、敵の攻撃を受け流すためのものだ。
隊長の攻撃を流したフルータは、隊長の体に向けてナイフをさしこんだ。
隊長はそれに気づき、後ろに下がった。
『さすがに、一発で勝ちをもらえないか……』
盾を前に構えながら、フルータは隊長との距離を、少しづつつめていく。
隊長は剣を振り上げた。フルータは盾を上に構える。そうすると、隊長の攻撃はなぎに変わった。それに冷静に対処したフルータは、ナイフで攻撃と受け止める。
そして、フルータは隊長に向けて盾を押し付けた。
盾を押し付け、視界を奪ってナイフで敵をブスリと指すのは、ファランクスの基本的な戦法だ。
また、隊長は下がった。フルータは冷静になって盾を隊長に向けて突き出す。




